初心者必見!シンバル基礎講座《シンバルの種類》[記事公開日]2022年6月24日
[最終更新日]2023年5月18日

ドラム初心者の方はマイ機材としてスネアドラムやキックペダルの導入を優先している方が多いと思います。中にはエフェクト系(スプラッシュシンバルやチャイナシンバルなど)シンバルだけ持っているという方もいるでしょう。基本的なドラムセット用シンバルだけの持ち運びでも大変なので、揃えるのは中々ハードルが高く感じてしまうかもしれません。しかし、シンバルはビートを刻んだり、アクセントをもたらす重要な役割を持っています。この記事ではシンバルの基礎知識を中心に解説していきますので、まずは「シンバルってこんなに重要なんだ!」と感じていただければ幸いです。

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1:シンバルとは? 2:シンバルの歴史 3:シンバルの種類 スタンダードシンバル エフェクト系シンバル クラシック用シンバル 4:シンバルの製造、加工 製造の違い 音を左右する5つのポイント 5:主なシンバルメーカー Zildjian SABIAN Paiste MEINL Istanbul Bosphorus UFIP 小出

シンバルとは?

シンバルの語源は皿や器にも似ている形状のため、「カップ、ボウル」を意味するラテン語から派生したと言われています。「体鳴楽器」に分類される打楽器であり、明確な音程はありません。比率が様々な合金を薄く円形状に伸ばして製作され、奏法は大きく分けて2種類あります。クラシックで使用される場合「2対の同じシンバルを打ち合わせる」奏法を用い、ロックなどポピュラー音楽では「スティックや手でシンバルを叩く」奏法を用います。ドラムセットに組み込まれるシンバルは「ハイハット」「クラッシュシンバル」「ライドシンバル」が基本となっています。大きさは「インチ」表記が一般的です。
※「クロテイル」や「マンジーラ」など鉄製で小さい円形状の楽器は「フィンガーシンバル」と呼ばれることがありますが、シンバルとは別の楽器として捉えた方が良いでしょう。
こちらの記事も参考にして下さい。パーカッションってどんなもの?世界の打楽器一挙紹介!

各部位の名称

シンバルの名称

シンバルは叩く場所によって名称が変わります。演奏においても部位や奏法によって多様なニュアンスを表現することができますので、是非覚えておきましょう。

エッジ

シンバルの「端」部分で、一番叩くことが多い場所が「エッジ」です。基本的にはスティックの「ショルダー」で叩き、アクセントを入れる際に使用します。シンバルを一番効果的に鳴らせる部分ですが、一番ヒビが入りやすい部分でもありますので叩き方には要注意です。シンバルに向かってまっすぐ叩くのではなく、力を横に逃すイメージで叩くと良い音で鳴らせ、ダメージも少なくなります。

カップ(ベル)

シンバルの中央部にある膨らんでいる茶碗のような部分が「カップ」です。(海外では「ベル」と呼ばれています。)基本的にはスティックの「ショルダー」で叩き、シンバルの中で最も高音が出る部分です。ライドシンバルではアクセントをつけながらビートを刻む際に叩く事がありますが、その他のシンバルでは叩く機会はあまり多くありません。

ボウ

シンバルの中で一番面積の多い部分が「ボウ」です。「弓」を意味しており、シンバルを真横から見るとちょうど弓の形に見えることからそう呼ばれています。「ハイハット」や「ライドシンバル」でタイトなビートを出したい際に叩く事が多いですが、「クラッシュシンバル」などでは叩く機会は少ないでしょう。

シンバルの歴史

シンバルの歴史は古く紀元前7世紀から存在していると言われていますが、現代の楽器としてのシンバルは17世紀頃に誕生しています。古代〜近代〜現代と振り返ってみましょう。
あわせてこちらの記事を読むのがおすすめです。ドラムの歴史

古代

紀元前7世紀にはアルメニア、メソポタミア、古代エジプト、古代ギリシャ、古代ローマなどの地域でレリーフや絵画、聖書や讃美歌などによりシンバルの存在が確認されています。その後3世紀〜4世紀にかけて中央アジア〜中国に伝播したと言われています。
その他の地域ではインドの寺院、トルコのイェニチェリと呼ばれる軍隊で使用されていました。この頃は宗教との関連が強く、シンバルというよりも薄く伸ばした鉄製の楽器というイメージです。

近代

先述したトルコのイェニチェリで発展した「メフテル」という軍楽で使用されていた現代シンバルの原型である「Zil(ジル)」が元となっています。この「ジル」を作ったのが当時トルコの錬金術師であった「アヴェディス1世」であり、オスマン・トルコ皇帝から「シンバル職人の息子」を意味する「Zildjian(ジルジャン)」という称号を授かります。これが世界初のシンバルメーカー「Zildjian」が誕生した瞬間です。
ドイツの作曲家、ニコラウス・アダム・シュトルンクのオペラ「エステル」を先駆けとし、クラシック音楽、オーケストラに組み込まれ、17世紀以降ヨーロッパ全体に伝播します。

現代

「Zildjian」のアメリカ進出に伴い、マーチングやジャズ、ブルースなどで使用されていき、ドラムセットの一部として組み込まれました。そして「Zildjian」から「Istanbul」や「SABIAN」が派生したり、ロシア、ドイツ、日本と世界各地でシンバルメーカーが誕生し、現在ではほとんどの音楽ジャンルにおいて必要不可欠の楽器となりました。様々なジャンルに対応できるよう各ジャンル向けに多種多様なシンバルが開発されています。

シンバルの種類

スタンダードシンバル

まずはスタジオやライブハウスなどでもスタンダードとされているシンバルを紹介します。まずはこのシンバルを覚えておくと困ることが少なるでしょう。
※サイズ展開は一般的な水準を記載しています。これ以外のサイズのシンバルも存在する可能性がありますのでご了承ください。

ハイハット


ビートを刻む上で欠かせない「ハイハット」は、上下2枚のシンバルを重ね合わせ、ペダルを踏むと上のシンバルが下に移動する仕組みです。上のシンバルを「トップ」、下のシンバルを「ボトム」、シンバル同士がくっついている(ペダルを踏んでいる)状態を「クローズ」、離れている(ペダルを踏んでいない)状態を「オープン」、その中間の(ペダルを半分踏んでいる)状態は「ハーフオープン」と呼びます。「エッジ」部分をスティックの「ショルダー」で、「ボウ」部分をスティックの「チップ」で叩くことが多いですが、ペダルの操作と叩く場所によって表現の仕方も大きく広がるシンバルです。

サイズ展開 13〜15インチ
標準サイズ 14インチ

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クラッシュシンバル

「クラッシュシンバル」はクラシック音楽で使用される「2枚のクラッシュシンバルを打ち合わせる」奏法と「1枚のクラッシュシンバルをスタンドにセットし、手やスティックで叩く」奏法の2種類の演奏形態を持ちます。(前者を「ハンドシンバル、後者を「サスペンデッドシンバル」と呼ぶこともあります。)スティックなどで叩く場合、小節の頭(一拍目)やシンコペーションなどバスドラムやスネアドラムと一緒に叩くことが多く、アクセントをつける際に多く使われます。「エッジ」部分をスティックの「ショルダー」で叩く事がほとんどです。

サイズ展開 14インチ〜20インチ
標準サイズ 16インチ、18インチ

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ライドシンバル

「ライドシンバル」は「ハイハット」のようにビートを刻む際に使用することが多く、「ボウ」部分をスティックの「チップ」で叩くと粒立ちがハッキリするサウンドです。「ジャズ」ではライドシンバルがビート、グルーヴのメインであり、「レガート」と呼ばれる奏法が有名です。ロックなどの激しいジャンル、曲では「エッジ」部分をスティックの「ショルダー」で叩くことにより、「クラッシュシンバル」のように鳴らすことで盛り上がりや激しさなどダイナミクスを表現する場合もあります。

サイズ展開 18〜24インチ
標準サイズ 20インチ

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クラッシュライドシンバル

「クラッシュシンバル」としても「ライドシンバル」としても使用できることを想定して作られたシンバルを「クラッシュライドシンバル」と呼びます。通常のライドシンバルよりもクラッシュ音を出しやすくする(レスポンスを高める)ため、サイズは18インチから22インチ、ウェイトはミディアム以下、テーパーを大きめに設計されています。逆の設計で作られているものを「ライドクラッシュシンバル」と呼びます。初期のドラムセットはシンバルの枚数も少なく、1枚で代用できるように作られていました。現在の「クラッシュ、ライドシンバル」は「クラッシュライドシンバル」から派生したと言っても良いでしょう。

サイズ展開 18〜22インチ
標準サイズ 20インチ

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フラットライドシンバル

「フラットライドシンバル」は「ライドシンバル」から「カップ(ベル)」を取り除いた形状をしています。1967年、「Paiste」社がジャズドラマーの「ジョー・モレロ」氏と共同で開発したFOMULA602シリーズの中でフラットライドシンバルが誕生しました。カップが無い分、タイトかつ繊細でレガート奏法に適しており、ジャズドラマーに人気のシンバルです。1968年にリリースされた「チック・コリア」氏のアルバム「Now He Sings, Now He Sobs」で「ロイ・ヘインズ」氏が使用したフラットライドシンバルのサウンドを聞く事ができます。

サイズ展開 18インチ〜24インチ
標準サイズ 20インチ

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エフェクト系シンバル

ビートにアクセントを加えたい時や、フィル回しのバリエーション追加などにも使用できるのが「エフェクト系シンバル」です。使い方によってドラマーとしての個性を発揮することができるアイテムです。

チャイナシンバル


「エフェクトシンバル」の代表格でもある「チャイナシンバル」は、その名の通り中国で誕生したシンバルです。カップ部分が凹んで(もしくは盛り上がって)おり、反り返っている形状をしているため、他のシンバルに対し裏返しでセットします。「クラッシュシンバル」よりも大きい炸裂音が特徴で、より強いアクセントを表現したい時に多く使用されます。激しいジャンルや曲で使われるイメージがありますが、実はジャズやラテンなどのポピュラー音楽全般で使用されています。

サイズ展開 14インチ〜22インチ
標準サイズ 18インチ、20インチ

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トラッシュシンバル

ここでは「Zildjian」が開発した「トラッシュフォーマー」や「トラッシュスパイラル」、「オリエンタルトラッシュ」などを分類しています。その名の通り「ゴミ箱」を叩いたようなサウンドが特徴です。「チャイナシンバル」なども「トラッシュ」と表現されることがありますが、よりトラッシュ感が強調されているのが特徴です。使い所は中々難しいですが、唯一無二のサウンドなので活躍する機会はあるでしょう。

サイズ展開 8インチ〜18インチ

※特殊なシンバルのため、標準サイズは省略させていただきます。

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エフェクトシンバル

見出しの「エフェクトシンバル」と間違えやすいですが、穴の開いたシンバル総称を「エフェクトシンバル」と呼びます。クラッシュシンバルをベースに様々なサイズや数の穴を開けることで「クラッシュシンバル」と「チャイナシンバル」の中間のようなサウンドが特徴です。クラッシュとしてもエフェクトとしても使用できるので、近年愛用しているドラマーも多く見られます。「チャイナシンバル」や「スプラッシュシンバル」など他のシンバルに穴を開けたモデルも多く存在します。初めてのエフェクト系シンバルとしておすすめな種類の1つです。

サイズ展開 14インチ〜20インチ
標準サイズ 16インチ、18インチ

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スプラッシュシンバル

「チャイナシンバル」と並び人気の高い「エフェクト系シンバル」が「スプラッシュシンバル」です。大きさが小さく幅をとらないため、カホンなどのパーカッションからドラムセットまでどんな環境でもセッティングがしやすく、様々な音楽ジャンルでも合わせる事ができるサウンドが特徴です。音量は小さくサスティーンも短いですが、アクセントとしては十分活躍します。ジャンルや曲に合わせてサイズを選ぶと良いでしょう。

サイズ展開 6インチ〜12インチ
標準サイズ 10インチ

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チャイナスプラッシュシンバル

「スプラッシュシンバル」の大きさで「チャインシンバル」の形状をしているシンバルを「チャイナスプラッシュシンバル」と呼びます。2種類のシンバルの特徴がうまくミックスされており、サスティーンは短いながらも効果的なアクセント、エフェクト音を鳴らす事ができます。サウンドとしては少し尖っているのでスプラッシュシンバルよりも用途は限られますが、幅広いジャンルで使用できるシンバルと言えるでしょう。

サイズ展開 8インチ〜12インチ
標準サイズ 10インチ

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シズルシンバル

「シズルシンバル」はシンバルの種類というよりかは「カスタム方法」に近いと言えるでしょう。シンバルに穴を開け「リベット」と呼ばれる金属製の留め具を取り付けることで、叩いた振動でシンバルとリベットがぶつかりエフェクティブなサウンドを追加できます。他にもお手軽な方法として、シンバルの上にチェーンをぶら下げるなどの方法もあります。前者のリベットを取り付けていればどのタイプのシンバルでもシズルシンバルと呼ぶ事ができるでしょう。
※シズルシンバルに関しては他のシンバルとの組み合わせという点からサイズ表記は省略します。

シズルシンバルを…
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スウィッシュシンバル


「スウィッシュシンバル」は「Zildjian」社とスウィング期を代表するジャズドラマー「ジーン・クルーパ」氏によって開発されたモデルです。「チャイナシンバル」のように反り返っていますが、テーパーは小さく、薄く、「フラットライドシンバル」のチャイナシンバルバージョンと考えると分かりやすいかもしれません。「ライドシンバル」または「クラッシュシンバル」として主にジャズで使用されることが多いモデルです。近いモデルで「パンシンバル」というものも存在しますが、現在ではどちらのシンバルも中々見る機会はないでしょう。見かけたらゲットしても良いかもしれません。

サイズ展開 16インチ〜22インチ
標準サイズ 18インチ、20インチ

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ベルシンバル

「ライドシンバル」の「カップ(ベル)」部分だけを取ったような形状をしているのが「ベルシンバル」です。サウンドもそのままカップサウンドですが、厚めに作られているため、通常のカップサウンドよりも大きく高い音が特徴です。単発で叩くとお寺や神社などを連想させるサウンドのため、使い所は難しいですが、激しい曲中での埋もれがちなカップサウンドを強調してくれるなどジャンルによっては活躍する機会も少なくありません。逆さにしてライドシンバルの上に乗せるセッティングをよく見かけます。

サイズ展開 6インチ〜10インチ
標準サイズ 8インチ

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シンバルを二重に!スタックシンバル!

つづみちゃん

「シズルシンバル」と同じようにカスタム的な要素が強いのが、「スタックシンバル」です。ヘッドアンプとキャビネットのように「スタック(積み重ね)」させる手法を指します。重ねているのでサウンドとしてはとても短いサスティーンが特徴なのでタイトに刻みたい時などに活躍してくれるでしょう。大きさや種類などの組み合わせにルールはなく、何より自分自身で組み合わせてオリジナリティ溢れるサウンドを作れることが魅力です。最初からスタックさせてあるシンバルをリリースしているメーカーもありますので、気になった方はトライしてみてください!下記の動画にはドラマーのロマンが詰まっています!

クラシック用シンバル

現在ではクラシック用としてポピュラー音楽で使用するシンバルとは異なる設計、製法でクラシック用のシンバルも作られています。

サスペンデッドシンバル


分類的には「クラッシュシンバル」であり、元々の「サスペンデッドシンバル」の意味はクラシック音楽で使用されていた「吊るされたシンバル」として、2対のシンバルを打ち合わせる所謂「ハンドシンバル」と区別するためでした。(現在では吊るすことはほぼ無くなり、スタンド置きが一般的です。)製品としてのサスペンデッドシンバルはクラシック音楽用に制作されたクラッシュシンバルという意味合いを持っており、スティックよりもマレットで叩く機会が多いでしょう。クラシック音楽向けにシンバルを購入する方はこれを選んで下さい。

サイズ展開 16インチ〜20インチ
標準サイズ 18インチ

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