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ドラムの歴史

ドラムセット

私たちが知っているドラムセットの歴史は意外に浅く、今のスタイルになってからまだ100年も経っていません。スネアドラム、バスドラム、シンバルなどはそれぞれ300~400年以上の歴史がありますが、ドラムセットが確立される以前は各楽器に一人ずつ奏者が必要でした。

1860年代(複数のドラムを一人で演奏するアイデアの誕生)

アメリカの南北戦争が終結し、軍隊で号令用に使われていたバスドラムやスネアドラムが民間に出回るようになりました。それらの楽器を使ってマーチングバンドやブラスバンドが結成されたり、当時流行しだしたラグタイムを演奏する人たちが増えたそうです。その中で複数のドラム(主にバスドラムとスネアドラム)を一人で演奏する人たちが出てきました。複数のドラムを演奏することを「ダブルドラミング」といいますが、この頃はまだスティックのみでの演奏で、足は使っていません。フットペダルのアイデアはあったようですが、一般に広がるような素晴らしいものではなかったのでしょう。


動画「History of the Drumset」2:11〜
ダブルドラミングについての動画です。ちなみに演奏者は左利きです。当時はスネアスタンドがなかったので、椅子に載せて演奏しているのが興味深いですね。

1894年?(ドラムセットの誕生)

ルイジアナ州ニューオリンズにDee Dee Chandler(1866~1925)というスネアドラム奏者がいました。彼こそがバスドラムを足で演奏しながら、手はスネアドラムなど別の楽器を一人で演奏した初めてのドラマーだと伝えられています。誕生秘話として有名な話を二つ。一つは、当時各楽器に一人ずつ奏者が必要だった打楽器をChandlerが複数人数分のギャランティー欲しさに一人で演奏したというもの(ただ、たくさんのギャランティーがもらえたかどうかは不明)。もう一つは当時在籍していたバンドのバスドラム奏者とケンカをしてしまい、そのバスドラム奏者が本番に来なくなってしまったことがありました。Chandlerはしかたなく木製のペダルを考案し、足でバスドラムを演奏しながら、スネアドラムを演奏する羽目になったというもの。しかしそれが話題となり、Chandlerは人気ドラマーとなりました。

※タイトルにある1894年という年号は彼がドラムセットの原型を発案した年とか、彼がバンドに加入した年であるなどと色々な説があるので「?」を付けました。

1920年代後半(ハイハットの誕生とドラムセットの発展)

1920年代に人気のあったドラマーでBaby Dodds(1898~1958)という人がいました。彼の演奏中に左足が規則的に動いているのを観客が気づき、「その動きを何かに利用できないか」とDoddsに伝えたことでハイハットの前身である「ソックシンバル(ローボーイ)」が開発されたといいます。この観客がWilliam Ludwigでラディック社の創始者です。その後Doddsはソックシンバルを9インチ高くセッティングし、手でもシンバルを演奏できるよう改良しました。これがハイハットの誕生です。このハイハットの誕生により、現在のドラムセットに非常に近いセッティングが確立しました。またビッグバンドの流行によりドラムセットも発展し、この頃からシンバルの種類が増えたり、タムタムがセットされるようになりました。


動画「History of the Drumset」3:13〜
ソックシンバルについての動画です。演奏者(左利き)の右の足元にソックシンバルがあり、2拍目と4拍目に踏んで演奏されているのがわかります。動画は1919年をイメージしたものですが、この頃のドラムセットにはカウベルやウッドブロックをセットするのが主流で、まだタムタムはありません。

1940年頃(ツーバスの誕生)

ジャズドラマーのLouie Bellson(1924~2009)が中学生の頃に思いついたアイデアからダブルベースドラム(ツインバス、ツーバス)が生まれます。1940~50年代はジャズの間で流行しましたが、60年代に入りCreamのドラマーGinger Bakerがロックに取り入れました。その後、3つ以上のバスドラムを駆使するドラマーが出てきますが、ダブルベースドラムが原則的に同じチューニングで同一の楽器として演奏していたのに対し、3つ以上の場合は音色を変えて別の楽器として演奏するという差があります。現在ではダブルベースドラムはロック界の独壇場となっており、ジャズ界ではほとんど見られません。

近年では上記以外にもたくさんの素晴らしいアイデアがあることは間違いありませんが、足(両足含む)でバスドラムを演奏し、手でハイハットを演奏するというアイデアの域を超えるものはありません。今後これまでの常識を覆し、世界基準となるアイデアが出てきたら楽しいですね。


Intro to Drums (THE INSTRUMENTALS – Episode 2)
ポピュラーなドラム・スタイルを5分の動画にまとめています