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ニール・パート(Neil Peart)

「カナダの至宝」とも呼ばれるバンド「ラッシュ」。そのリズムを支えるのがニール・パートです。数々のリーダーズ・ポール(雑誌等の読者投票)では軒並み上位に入賞するほどの人気を有します。ドラマーとしてだけでなく、ラッシュのほぼ全曲(ファーストアルバム以外)の作詞を担当し、作風は文学、哲学、SF、空想、神話、社会、自叙と多岐にわたります。
ドラマーとしての活動は1974年にラッシュへ加入して以来、時折イベント等で演奏する以外は、ほぼラッシュでの活動のみ。日本へは1984年に一度来日していますが、その後の来日はありません。1997年に娘を交通事故、翌年妻を癌で立て続けに亡くしたことで、1998にバンドは活動休止。しかし2001年に活動を再開。現在は新しい伴侶と娘に恵まれ、カリフォルニア州に住んでいます。ただ2015年に身体的な問題から「もうツアーはしない」という内容(一部では引退とも)の報道が世界中を駆け巡りましたが、真相は定かではありません。

バイオグラフィー

1952年9月12日生 カナダ・オンタリオ州ハミルトン
13歳でドラムレッスンを受け始め、その頃はジーン・クルーパ、キース・ムーン(ザ・フーのドラマー)、ミッチ・ミッチェル(ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのドラマー)、ジンジャー・ベイカー(クリームのドラマー)などを好んで聴いていました。18才で一度ロンドンに移りますが、20才でカナダに戻っています。その頃にはフィル・コリンズ、ビル・ブラフォード、ビリー・コブハムの影響を受けたようです。1974年にラッシュに加入するまでは、父親の仕事を手伝いつつ地元のバンドで演奏をつづけました。

アルバムへの参加は1975年のラッシュ2枚目のアルバム「夜間飛行」からで、これ以降ほぼすべての楽曲の歌詞はニールが担当しています。その後、地道にアルバムの発表を重ね、1981年には彼らの不動の人気アルバム「ムーヴィング・ピクチャーズ」(全米第3位)を発表します。彼らの代表曲である「トム・ソーヤー」はこのアルバムに収録されています。


Rush – Tom Sawyer

プレイスタイル

質実剛健。緻密で正確。それでいて少し荒々しさを感じるフォームが魅力です。お気に入りのドラマーからジャズ、ハードロック、プログレッシブロックの影響を強く受けているようですが、ラテン、アフリカン、マーチングなどからのフレーズも聴くことができます。フレーズの構成は楽曲に寄り添ったものが多いので、手数が多くても決して楽曲の邪魔をしません。ドラムセット品数は多いのですが、「セットの中で叩かない楽器はない」との言葉から、その楽器の量は必然/必要なのでしょう。数々の栄誉に輝くニールですが、勉強を怠りません。90年代半ばから故フレディー・グルーバー氏、2008年にはピーター・アースキン氏からのレッスンを受けています。


Neil Peart – Hudson Music
氏の教則DVDからの抜粋。一聴するとフリーテンポのドラムソロに聞こえますが、足では「ドツツドツツ…」とずっとテンポがキープされています。

特徴的なドラムセット

ニールのドラムセットといえば360°囲まれた巨大セットがトレードマークですが、1984年頃からこの形態で組み始めていたようです。1984年発表のアルバム「グレース・アンダー・プレッシャー」に収録されている「ディスタント・アーリー・ウォーニング」のMVではニールの真後ろにシンバルやシンセドラムのパッドを確認できますが、前年の1983年のツアーではまだニールの背後にシンバル類は確認できません。1985年発表のアルバム「パワー・ウィンドウズ」に収録されている「ミスティック・リズムス」のMVの冒頭では、初期の360°セットをわかりやすく見せてくれています。


Rush – Mystic Rhythms

使用機材(2017年現在)

ドラム ※サイズは口径×深さ(インチ)

1996年からdwのセットを使用しています。現在のセットは360°のセッティングではありません。現在2種類のセットを使用していますが、メインのセットはワンバス(ツインペダル使用)です。過去にはロジャース、スリンガーランド、タマ、ラディックのドラムを使用していました。

今回紹介するのは「R40」と名付けられたメインのセットです。

R40:ドラムセット 画像はdw公式サイトから転用し、編集したものです。左下の別画像はツーバスのセットです。

  • A.スネアドラム14×6.5 DW-ICON-RUSH-2/NEIL PEART Limited Edition
  • B.ピッコロスネアドラム13×3
  • C.タムタム 8×7
  • D.タムタム10×7
  • E.タムタム12×8
  • F.タムタム13×9
  • G.フロアタム15×12
  • H.フロアタム15×13
  • I.フロアタム16×16
  • J.サスペンデッドフロアタム18×16
  • K.バスドラム23×16

“A”はラッシュ結成40周年を記念して作られたスネアドラムです。シェルはルーマニアで採れた樹齢1500年のオーク材が使われており、13プライのシェルはVLT製法で作らています。VLTとはVertical Low Timbreの略で、シェルの最外面と最内面の木目の向きを従来の水平ではなく、垂直にすることで低音を引き出す、DWのオリジナル製法です。表面はクリアラッカー塗装、フープやラグなどの金属パーツはゴールドのメッキが施されています。またこのスネアドラムのレプリカが世界限定250台で生産されており、その収益の一部はニールが行う慈善事業に寄付されます。

”B”以降のタムタムやバスドラムは上記で説明したスネアドラムと同素材で作られています。フロアタムは一般的な14や16インチだけではなく、15インチが2台使われており、それらは左右に振り分けられています。18インチの「サスペンデッドフロアタム」は独自のスタンドを使うことにより、通常のフロアタムより自由な高さや角度にセッティングが可能です。また以前は24インチのバスドラムを使用していましたが、最近は特注の23インチを使用しています。

また、今回紹介するセットには組み込まれていませんが、dwから以前シグネチャーモデルとして発売された “Time Machine” VLT Snareやニールが「No.1」と呼ぶほどお気に入りのスリンガーランドのSpitfireも使用機材として見逃せません。

シンバル

現在は自身のシグネチャーモデルであるセイビアン「paragon」シリーズを使用しています。過去にはジルジャンや武漢を使用していました。

paragonシリーズ

  • A.10″ スプラッシュ
  • B.20″ クラッシュ
  • C.14″ ハイハット
  • D.17″ クラッシュ
  • E.10″ スプラッシュ
  • F.16″ クラッシュ
  • G.22″ ライド
  • H.19″ クラッシュ
  • I.8″ スプラッシュ
  • J.14″ ハイハット(Jのみ「Artisan」シリーズ)
  • K.20″ ダイアモンドチャイナ
  • L.20″ チャイナ
  • M.19″ チャイナ

ニールが193cmの恵まれた体格のためか、全体的に大きな口径がセレクトされています。自身のシグネチャーモデルである「paragon」シリーズを見ても、ライドが22インチのみだったり、クラッシュが22インチまでラインナップされていたりして、平均的な体格では鳴らすのが大変かもしれませんね。

その他

エレクトリックドラムはローランドTD-30のトリガーパッドをdwのシェルに付けて使っています。また電子マレットをドラムセットに組み込んでいる点がニールの特徴でもありますが、電子マレットはKAT社のKATmalletを使用しています。

スティック

プロマークPW747W(直径14mm 長さ412mm)

フットペダル

dw 9000シリーズ

アルバム/教則DVD/書籍

アルバム

Moving Pictures(ムーヴィング・ピクチャーズ)/ラッシュ

Moving Pictures

1981年2月12にリリースされたラッシュ8作目のアルバム。アメリカにおいて商業的に最も成功したアルバムで、今もなお人気の高い作品です。シングルカットされた「Tom Sawyer」はラッシュの代表作となり、ライブでの定番曲として演奏され続けています。またインスト曲の「YYZ」はグラミー賞の最優秀ロックインストゥルメンタルパフォーマンス部門にノミネートされました。ラッシュの入門編としては最適のアルバムと言えるでしょう。

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Permanent Waves(パーマネント・ウェイヴス)/ラッシュ

Permanent Waves

1980年1月14日にリリースされたラッシュ7作目のアルバム。前作までと比べて大衆を意識したアルバムに仕上がっています。そのおかげか過去のアルバムの中で最もセールスに成功したアルバムとなりました(カナダ、イギリスで3位、アメリカで4位)。またシングルカットされた「The Spirit of Radio」ではレゲエのリズムも取り入れ、バンドの奥深さがうかがわれます。

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教則DVD

A Work in Progress/ニール・パート(英語版)

A Work in Progress

アルバム「テスト・フォー・エコー」の収録曲から、ドラムパートの構成、リズムのアプローチ、テクニック、変拍子、バンドでのドラマーの役割、ドラムセットオーケストレーション、タイムキープについて解説しています。

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Anatomy of a Drum Solo/ニール・パート(英語版)

Anatomy of a Drum Solo

Anatomyは解剖学のこと。自身のドラムソロを基にドラムソロへのアプローチや要素を丁寧に解説しています。とてもまじめなニールを反映するような言葉のセレクトですね。ニールのソロには欠かせない電子マレットを使った演奏を聴くこともできます。

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Neil Peart: Anatomy of a Drum Solo – the Trailer

書籍

Far and Near(洋書)

Far and Near

2014年に発行されたニール自身が世界各地をバイクで回った時の旅行記です。もともとはニールのウェブサイトに掲載されていたものをまとめたものです。ニールは旅行記を何冊も出していて、これもその中の一冊です。鋭い洞察力や心地よいユーモアで読者を楽しませてくれます。2017年現在6冊を出版しており、これは今後も増えていくのでしょうか。