自分でドラムをレコーディングする方法を徹底解剖![記事公開日]2017年8月24日
[最終更新日]2021年6月18日

自分でドラムレコーディングする方法:徹底解剖!

近年右肩登りの宅録クオリティ。

今やギターアンプがなくてもプロのようなギターの音をパソコンから出すことができますし、何年か前だったらスタジオに入ってレコーディングしていたのが、今では自分たちで、しかも自宅でレコーディイングした音源をリリースする人たちが増えています。

こうして自分たちでカバーする部分が増えてきている音源製作ですが、未だに一つだけレコーディングのハードルが高い楽器があります。

なにかわかりますか?

それはドラムです。

宅録では通常使わない機材が必要になりますし、一通りのマイキングテクニックも求められ、スタジオでレコーディングすると曲数にもよりますが5万円から10万円ほどはかかると見込んだほうがいいでしょう。

ですが、このドラムレコーディングを自分でできたら、もう無敵だと思いませんか?

そこで今回はドラムを自分でレコーディングする方法を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

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1: ドラムのレコーディングに必要な機材 1.1: 多入力のオーディオインターフェイス 1.2: マイク 1.2.1: 知っておいた方が良いマイク知識 1.3: ドラムセットと部屋(スタジオ) 1.3.1: シンバルを甘くみるな! 2: セットアップ方法 2.1: マイキングの仕方 2.2: オーディオインターフェイスとマイクの設定 3: いざレコーディング! 3.1: 知っていると便利な「グルーピング」 3.2: 「パンチイン」で美味しいどころ取りなテイクを実現 3.3: ドラムのレコーディングに必要な時間 4: 裏技編 4.1: メタルドラマー必至!生キックをガチガチな音にする秘密兵器 4.2: レコーディングで電子ドラムパッドや消音メッシュヘッドをあえて使う理由 4.3: マイク2本だけでサクっとレコーディング 5: まとめ

ドラムのレコーディングに必要な機材

ドラムのレコーディングが、ギターやボーカルのそれと違うこと。それはまず必要な機材でしょう。ドラムは太鼓やシンバルがいくつも使われており、全てをカバーするにはいくつものマイクが必要になります。またそれぞれの要素にマッチしたマイクの種類を選ぶ必要がありますし、それらのマイクをパソコンに繋ぐ機器も別途必要になります。

ということでまずは機材面のハードルを越えるべく、ドラムのレコーディングに必要な機材をおさえましょう。なお、本記事はパソコンやオーディオインターフェイスなど、DTMに必要な一通りの機材・知識を既に持っていることを前提としておりますので、予めご了承くださいませ。

DTM初心者におすすめのオーディオインターフェイス – DTM博士

多入力のオーディオインターフェイス

ドラムレコーディングに必要な機材ですが、意外にスタジオで借りられる場合も多いです。しかし、なかなかレンタルできないのがオーディオインターフェイス。ドラムのレコーディングを自分でしたいのであれば、まずは多入力のオーディオインターフェイスを用意した方がいいでしょう。なお、入力数に余裕を持ちたい人はマイクプリを別途用意しておくのもアリですが、手持ちの他のオーディオインターフェイスを繋いで、合わせて使用することができます(「マイクプリ」については以下のリンク先で詳しく解説しています)。

ドラムレコーディング対応のオーディオインターフェイス – DTM博士

TASCAM US-20×20

ちなみに今回はコストパフォーマンスに優れた「TASCAM US-20×20」を使用しています。シンプルなデザインで使い易いですし、ドラムのレコーディングを考えている人にはとてもお勧めのオーディオインターフェイスです。今回のレコーディングでは「TASCAM US-20×20」の8つの入力に加えて、手持ちのオーディオインターフェイスの2入力も合わせて使うことにより、ドラムセット全体をカバーしています。

マイク

SHURE SM57

オーディオインターフェイスをおさえたら次に必要となるのがマイク。しかしオーディオインターフェイスと違ってマイクは割と多くのスタジオでレンタルサービスが提供されています。ですので、予算面が厳しい人は一旦オーディインターフェイスだけ自前で用意し、マイクはレコーディングの都度スタジオの物を借りるのがよいでしょう。それでもドラムレコーディング用のマイクを自分で用意したい!という人はコチラのページをご覧ください。ドラムのレコーディングに適したマイクを一通り紹介しているので、こちらをベースに選んでみてはいかがでしょうか。

ドラムレコーディング用マイク– DTM博士


知っておいた方が良いマイク知識

レンタルできるとはいえ、マイクに関する知識はある程度持っておいた方が良いでしょう。例えば「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」の違い。ダイナミックマイクは耐久性が高く、湿気にも強くて、感度が低いためスネアやタムなどボリュームが大きいドラムに使用されます。一方でコンデンサーマイクは振動や湿気に弱い短所を持つ一方、感度が高く細かいニュアンスをキャプチャーするのが得意なため、きらびやかな音を発するシンバル類やオーバーヘッドマイクとして使用されます。注意点として覚えておくべきが「コンデンサーマイクは電源が必要」ということ。とは言ってもマイクに電池を入れる訳でなく、通常オーディオインターフェイス側に電源を供給するボタンがついているので、そのスイッチをオンにして対応しましょう。(くれぐれも音が入らないからと言って故障していると勘違いしませんように・・・)

DTMで使うマイクについて– DTM博士

ドラムセットと部屋(スタジオ)

オーディオインターフェイスとマイクについてお話ししましたが、最後はドラムセットと部屋(スタジオ)について。
自宅にドラムセットがある場合を除いて、自分でドラムをレコーディングする場合はレンタルスタジオを借りることになるでしょう。ここでポイントとなるのが、「ドラムセットのクオリティ」と「部屋の鳴り」です。今まで意識したことがなかった人もいるかもしれませんが、この二つはドラムをレコーディングする上でとても重要な要素。この二つの要素をおろそかにすると、せっかくの抜群のパフォーマンスも台無しです。

そんなドラムセットのクオリティと、部屋の鳴りですが、自分の感性に自信が無いとどう判断すれば良いかわから無いかもしれません。しかし、そこまで難しく考えなくても大丈夫です。思い出していただきたいのですが「あのドラムって叩いていて気持ちよかったな」とか、「このスタジオって演奏しやすいな」とか思ったことはありませんか?そんな単純で、素朴な感覚で大丈夫です。まずはそういった感覚から、良いドラムセットが置いてあるスタジオを選ぶとよいでしょう。

シンバルを甘くみるな!

ちなみにドラムセットを選ぶ上で重要なのがシンバル類。太鼓類はドラマーがしっかりと叩ければある程度カバーできる部分があるのですが、シンバルは物が良くないと取り返しがつきません。これも先ほどお伝えした素朴な感覚で選んでも良いのですが、シンバルのモデル名をインターネットで調べて、メーカーの上位機種であるかどうか確認するのもアリです。エントリーモデルが悪く、上位モデルが良いとは限りませんが、一つの指標とはなるでしょう。

セットアップ方法

オーディオインターフェイス、マイク、ドラムセット、スタジオなど、ドラムのレコーディングに必要な物についてお話ししましたがこれで一通りカバーできました。こうして準備が整ったら必要機材をスタジオに持ち込み、セットアップします。扱う機材が多く、ケーブルがスタジオ内でスパゲティ状態になる可能性もあるので、後片付けも考慮しスタジオは長めに予約しておきましょう。

マイキングの仕方

まず確認しておきたいのがオーディオインターフェイスの動作。普段とは違うオーディオインターフェイスを使用することになるので、あらかじめ自宅でちゃんと認識されるか確認しておいてください。そしてスタジオに入ったらドラムをセットアップしたのち、ドラムの各部位をマイキングしていきます。

マイクスタンドを使用することもできますが、太鼓にマイクを直接取り付けるクリッピング型のものもあるので、いずれの場合もできるだけドラムの打面に垂直になるようにマイクをセットしてください。

スネアのマイキング スネアのマイキング

打面からマイクの距離は2cm弱を意識するといいでしょう。

タムのマイキング タムのマイキング

フロアタムのマイキング フロアタムのマイキング

バスドラムのマイキングですが、バスドラムは低い位置にあるため専用のスタンドを借りるなり手配しておいてください。

バスドラムのマイキング

マイクの位置を打面から話すほど低音域が強くなり、打面に近づけるほどアタックが強くなるので、イメージ通りの音になるように調整してみましょう。音を決められなかったり、あるいは低音域とアタックの両方が欲しかったりする場合はバスドラムにマイクを2本立てるのもアリです。

オーバーヘッドマイクはシンバルから30cmほどの距離にセットし、またシンバルの淵側にセットすること意識してください。(中央部にセットすると若干不自然な音になります)

オーバーヘッドのマイキング:1 オーバーヘッドのマイキング:その1

オーバーヘッドのマイキング:2 オーバーヘッドのマイキング:その2

オーバーヘッドマイクは左右に二つセットしますが、二つともスネアからの距離が同じくらいになるようにセットしましょう。
意外に重要なのがルームマイク。部屋の隅にマイクを設置して部屋の鳴りを狙いましょう。

ルームマイク ルームマイク

これでドラムのマイキングが完了です。

マイキングしたドラムセット全景 マイキングしたドラムセット全景

オーディオインターフェイスとマイクの設定

オーディオインターフェイスのセッティング

マイクのセットが完了したらオーディオインターフェイスにマイクケーブルをつなぎ、DAW上でそれぞれのトラックに当てていきます。慣れていない最初の頃は犯しがちなミスですが、間違ったトラックに当ててしまったり、二つのマイクを一つのトラックに当ててしまったり、しないよう全トラック間違いないか一つずつ丁寧にチェックしていきましょう。

そして、最後は音量のチェック。ドラムやシンバルを一つずつ叩いて、狙っているマイクのボリュームをチェックしましょう。後々ボリュームを上げるとことは可能ですが、入力が大きすぎて音が割れてしまうと取り返しがつかないので、気持ち小さめに設定するのがコツ。こうして確認が取れたらついにレコーディングです!

いざレコーディング!

ここまでたくさんの手順を踏んできましたが、やっとレコーディングです!ドラマーの要望に応じてクリックトラックやバッキングトラックを予め用意する必要があるので、そういった部分についてはスタジオに入る前に予め打ち合わせしておきましょう。また、レコーディングはドラマーにとっていつもと違うちょっと緊張する場です。もしあなたがドラマーと一緒にスタジオに入るのであれば、リッラクスできるよう声を掛けたりして、緊張をほぐしてあげましょう。

知っていると便利な「グルーピング」

いざドラムをレコーディングするとなると戸惑うのが録音するトラックの多さ。録音する度に全てのトラックのボタンを個別に押していては時間がもったいないですよね。そこで活躍なのが「グルーピング」と呼ばれるテクニック。レコーディングしたい複数のトラックを「グルーピング」することにより、一つのトラックのレコーディングボタンを押すだけで、全部のトラックをレコーディングすることができます。ちなみにProToolsの場合はグルーピングしたいトラックを選択して、”Command+G”にてグルーピング登録することが可能です。

「パンチイン」で美味しいどころ取りなテイクを実現

レコーディングには一回きりで全て録り終える「一発録り」や、「パンチイン」と呼ばれる曲の途中から一部だけ撮り直す方法があります。一発録りはライブのような臨場感を演出することができるのがメリットですが、パンチインを活用することによりミスのない、完璧なテイクを作り上げることができるのです。ギターやボーカルでこのテクニックを活用している人も多いかもしれませんが、ドラムでも同様に活用することができます。

しかし、ドラムの場合マイク数も多いのでどこでも自由にパンチインできるわけではありません。例えば最初のテイクで右側のクラッシュシンバルを叩いていたのに、新しいテイクで左側のクラッシュシンバルを叩くと、場合によっては残響音が不自然になってしまう場合があります。他にも様々なケースがあるため、パンチインを多用する場合、ドラマーは極力同じ内容のプレイを心がけるとよいでしょう(フレーズだけでなく、右側、左側のクラッシュのどちらを叩くかまで)。ドラムのパンチインは予想以上にシビアなので、経験を積んでいって要領をつかんでみてください。

ドラムのレコーディングに必要な時間

ドラムのレコーディングに関する説明もそろそろ終盤ですが、初めての場合、一体どれくらいの時間が必要になるかわからないものですよね。参考までにですが、2,3曲録るのにセットアップと片付けを含めて5,6時間、というのを目安にするとよいでしょう。もちろんドラマーが少ないテイクで録ることができればもっと短い時間で済ませることができますが、セットアップと片付けは余裕をもってそれぞれ1時間ほど見込んでおくのが安全です。つまりセットアップで1時間、片付けで1時間なので、それだけで2時間かかってしまいます。ドラマーとあなたでそれぞれ役割分担すれば短縮できますが、慣れない最初の頃は余裕を持っておくといいでしょう。

裏技編

ドラムのレコーディングに関して一通り説明をし終えましたが、ここからは「裏技編」となります。特にメタル系ドラマーには必見の内容となっているので、ぜひ最後まで読んでみてください。

メタルドラマー必至!生キックをガチガチな音にする秘密兵器

メタルといえば歪みの強いギターに強烈なシャウトが特徴ですが、そんな音像の中でもクッキリと聴こえるバスドラの音を作るのがメタルではとても大切です。ミキシング段階でトリガー処理するケースも多いですが、そんな中でも生音にこだわりたいドラマーも多いのではないでしょうか。そんなあなたにオススメなのがコレ。

Danmer – Double Metal Kick Danmer – Double Metal Kick

「Danmer – Double Metal Kick」はバスドラムの打面に貼る金属性のプレートで、これを装着した途端にまるでトリガー処理したかのような強烈なバスドラ音に変身します。値段も1,000円前後とお手ごろですし、生音にこだわる硬派なメタルドラマーにオススメな一品です。

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レコーディングで電子ドラムパッドや消音メッシュヘッドをあえて使う理由

もう一つ紹介したい裏技がバスドラに電子ドラムパッドや、消音メッシュヘッドを使う手法。なぜこんなことをするのか?これはのちの修正作業を楽にするためです。メタル音楽は年々高い正確さが求められるようになってきており、ほとんどの作品のドラムがDAW上で修正されています。そして修正の中心となるのはバスドラムのプレイなのですが、バスドラムの音が他のマイク、特にオーバーヘッドマイクに入ると厄介なのです・・・。

というのもバスドラムトラックのプレイを修正しても、オーバーヘッドに入っているバスドラムは修正されないので、不自然な状況になってしまいます。そこで今、欧米のメタル界のスタンダードとして使われているのが、この手法なのです。電子ドラムパッドや、メッシュヘッドを使用することにより他のマイクにバスドラムのプレイが入らないので、より自由にバスドラムのプレイを編集でき、よりよい作品作りにつながります。

マイク2本だけでサクっとレコーディング

最後に紹介したいのが、「生ドラムでレコーディングしたいけどそんなに本格的なのは予算的にも労力的にも厳しい・・・」という人向けにお勧めのレコーディング方法。それがマイク2本でのドラムレコーディングです。マイク2本でレコーディングする場合は以下の2パターンがお勧め。

  • ①ドラムセットの正面に左右二つのマイクをセットする方法
  • ②ドラムセットの上にマイクを一本、そしてバスドラムにもう一つのマイクをセットする方法

①は全体的にバランスよく音を録ることができますし、②はバスドラムの音をしっかりと録れるので、ロック系やメタル系にお勧めです。もちろんレコーディング後の工程で細かいミキシング等はできなくなりますが、打ち込みのドラムとは違ったリアルなドラミングをレコーディングすることができますし、デモ作品では採用してみてもよい方法ではないでしょうか。


レベルの上がっている宅録業界ですが、そんな中でも未だにハードルが高いドラムレコーディングの方法についてお話しました。必要な機材がたくさんあったり、セットアップが大変だったりしますが、ドラムのレコーディングを自分でできるようになれば、音源製作はほぼ全てカバーできるといえるでしょう。以上となりますが、ドラムレコーディングをマスターし、ぜひ自分で音源製作を全てカバーできるようになってみてください!

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