ドラムのみならず楽器を演奏するにあたって非常に重要なアイテムが楽譜です。現在ではクラシックをはじめロックなどのポピュラー音楽やラテン音楽、一部の民族音楽においても楽譜は活用されており、決して音楽やバンド演奏とは切り離せないものとなっています。この記事では基本的な楽譜(ドラム譜)の読み方、書き方を紹介していきます。
目次
1:楽譜(5線譜とは?) 2:楽譜に使用する基本的な記号や用語を覚えよう! ├ 5線 ├ 小節 ├ 音部記号 ├ 拍子記号 ├ テンポ ├ 音符 ├ 休符 └ 反復記号とその他の記号
楽譜は音楽を記録、伝達するために書き記したものであり、音楽で使用する文字のようなものと形容できます。音楽を記録する方法としては他に「録音」も挙げられますが、楽譜は演奏しながら読むことができ、メモなどを書き込む/音が無くても曲が理解できるなどのメリットがあり、作曲する際にも楽曲全体を俯瞰して見られるなどの効果もあります。楽器毎に記法が異なりますが、基本的な記号等は統一されています。
各パートすべての音が記載されている「フルスコア」(ポピュラー音楽で主流の「バンドスコア」もこれに含まれます。)や各パートのみの譜面を「パート譜」、ジャズなどで使用されるメロディとコードのみ記載された「リード・シート」などがあり、ドラムの譜面は「ドラム譜」と呼ばれます。
楽譜の歴史はとても古く、紀元前2世紀頃には石などに彫られており、1473年以降は印刷されたものが普及し、現代においては紙媒体よりもデジタル媒体での楽譜が主流となっていますが、楽譜という存在は重要な役割を担い続けています。
楽譜には「音符」や「休符」以外にも様々な記号や用語があり、それらを知らなければ楽譜を読むことは難しいと言えるでしょう。しかし、一度覚えてしまえばどのような楽曲を演奏することになっても楽譜を読めばスムーズに理解、演奏する事ができるようになるため、時間効率もアップします。ここではどの楽器の楽譜でも使用され、なおかつドラム譜でよく使用される記号や用語を解説していきます。
5本の水平な線を「5線」と呼び、5線を用いて作られた「5線譜」が最もポピュラーな楽譜であり、音階がある楽器の場合、音符を記入する位置によって音の高さを表し、下に行くほど音は低く、上に行くほど高くなります。ドラムにおいては音階がない楽器のため、音符を記入する位置によってどの楽器を叩くのかを表します。横軸は時間を表し、左から右に読んでいきます。
「小節」とは楽譜を読む際に分かりやすくするために区切られた区間を指します。縦線によって区切られており、曲始めから1小節、2小節と数えていきます。本数や太さの違いによって縦線が表す意味も変わってきます。3つありますのでしっかり覚えておきましょう。
1本の縦線は「小節線」と呼ばれ、単純に小節を区切る意味合いを持ちます。
Aメロ、Bメロ、サビなど曲のセクションが変わる際に使用されるのが「複縦線」です。曲によってはテンポチェンジやリズムが変わる際にも使われますので見落とさないようにしましょう。
細い線と太い線の複縦線は「終止線」と言い、楽曲の終わりに使用されます。
「音部記号」は5線上にある音符の位置と音の高さの関係を指定する記号です。「ト音記号」、「ヘ音記号」、「ハ音記号」の3つがあり、楽器によって使用される音部記号が異なりますが、ドラムの場合はヘ音記号を使用しますので、それだけ覚えておけば問題ありません。
均等な間隔で打たれるリズムを「拍」と呼び、拍が連なっているものを「拍子」と呼びます。「拍子記号」はどの音符を主体の拍とするか、1小節がその拍何個で構成されているかを表す記号です。例えば最もスタンダードな拍子である「4/4拍子」(4分の4拍子と読みます。)は「1小節が4分音符4個分」で構成されていることを表します。(4/4拍子は「C」と略して記載されることもあります。)同じテンポであっても拍子が違うことで楽曲のリズムが大きく変わるため、非常に重要な記号であり、特にドラマーの皆さんは必ず覚えておいてください。
拍子は大きく分けると「単純拍子」「複合拍子」「変拍子」に分かれ、更にその中でも細分化していきます。楽曲によっては曲の途中で拍子が切り替わることもありますので、覚えておいて損はないでしょう。
「単純拍子」は聞き馴染みのあるシンプルな拍子です。特に難しく考える必要はありませんが、初心者の方は「3拍子」が少し分かりにくいかもしれませんので、克服しておきましょう。以下の3つに分類され、それぞれに対応した拍子を解説します。
「複合拍子」は先ほど解説した「単純拍子」を複数個組み合わせて作られている拍子であり、ほとんどが3/8拍子がベースになっています。6/8拍子など意外と聞き馴染みのある拍子だったりしますので、苦手意識を持たないようにするのが理解への近道です。
※付点音符については後ほど説明しますが、4+2(8分音符は4分音符の半分)=6と考えると分かりやすいかもしれません。
今まで紹介した拍子は全て2、3、4拍子のいずれかに分類されるものでしたが、「変拍子」は別名「混合拍子」とも言われ、2拍子と3拍子を複数個混ぜて作られている拍子です。例えば2拍子と3拍子を混れば5拍子ですが、拍子の順番によってリズムの考え方が変わりますので要注意です。拍子が増えるほど組みわせは増えていくため、より複雑となっていきます。4/5拍子などもありますが、基本的には8分音符が主体となっていると考えて良いでしょう。変拍子が理解出来ればリズムマスターに1歩近付いたと言って良いでしょう。
「テンポ」とは「拍の長さ」を表します。曲のスピードを決定づける重要な要素であり、特にドラマーにとって再現性を最も求められている部分でもあります。「BPM(ビー・ピー・エム)」とも呼ばれ、1分間にある4分音符(拍)の数で表されています。例えばBPM=120の場合、1分間に4分音符が120個ということになります。 身近なもので言うと正確に時を刻んでいる時計は1分間に4分音符が60個(秒針が動く回数と同じ)あるため、BPM=60ということですね。
「音符」は音楽や楽器をやっていなくてもほとんどの方が知っている最もポピュラーな記号です。音階を司るイメージがありますが、「音の長さ」も表します。特にドラマーにとってはこの「音の長さ」が非常に重要ですので必ず把握しておきましょう。ここでは4分音符を1拍として解説していきます。
「全」と名の付く通り音符1個で4拍分、つまり1小節分の長さを持つ音符です。ドラム譜ではクラッシュシンバルを叩く場合などに使用する場合が多いでしょう。
1小節を音符2個で構成するのが「2分音符」であり、「全音符」の半分の長さになります。ドラム譜においてはそこまで多く使用されることはありません。
1小節を音符4個で構成するのが「4分音符」であり、「2分音符」の半分の長さになります。4ビートを基調としたジャズのドラム譜ではよく見かけることがあるでしょう。
1小節を音符8個で構成するのが「8分音符」であり、「4分音符」の半分の長さになります。8ビートなどロックをはじめとするポピュラー音楽系のドラム譜では最もよく見られる音符です。
1小節を音符16個で構成するのが「16分音符」であり、「8分音符」の半分の長さになります。8分音符同様、非常によく使用される音符です。
1小節を音符32個で構成するのが「32分音符」であり、「16分音符」の半分の長さになります。あまり使用されることは多くありませんがテンポが遅い曲で倍テン(倍テンポ、ダブルタイム)する際などに出てくる場合があります。
1小節を音符64個で構成するのが「64分音符」であり、「32分音符」の半分の長さになります。32分音符と同様ですが、よほど特殊な曲でない限り出てくることはありません。
音符の右下にある点を「付点」と呼び、付点が付いている4分音符を「付点4分音符」と呼びます。この「付点」は元の音符を「1.5倍」の長さにする効果があり、この場合「4分音符と8分音符を足した長さ」ということになります。ドラム譜でも多く見られますので、覚えておくことをおすすめします。
ここでは「4分音符」を例にしていますが、「付点8分音符(8分音符+16分音符)」や「付点16分音符(16分音符+32分音符)」なども同様の考え方で問題ありません。
「休符」は言わば演奏をしない音符ですが、曲自体は進んでいる状態であり、リズムをキープしておく必要があるため記載されています。次の音符へ繋げるためにも休符を読むことは非常に重要です。基本的な考え方は「音符」と同じため一緒に覚えておきましょう。
1小節分の長さを持つ休符です。
1小節を休符2個で構成するのが「2分休符」であり、「全休符」の半分の長さになります。
1小節を休符4個で構成するのが「4分休符」であり、「2分休符」の半分の長さになります。
1小節を休符8個で構成するのが「8分休符」であり、「4分休符」の半分の長さになります。
1小節を休符16個で構成するのが「16分休符」であり、「8分休符」の半分の長さになります。
1小節を休符32個で構成するのが「32分休符」であり、「16分休符」の半分の長さになります。
1小節を休符64個で構成するのが「64分休符」であり、「32分休符」の半分の長さになります。
「4分休符+8分休符」の長さを持つ休符です。
同じパターンが続く場合には「シミレ」と呼ばれる記号を使用し、音符などを省略する事ができます。2点の間に入っている「/」の数によって繰り返す小節数が決まります。同じドラムパターンが続くことは多々ありますので、特に自身でドラム譜を作成する際には役立ちます。
前の1小節を繰り返す場合
前の2小節を繰り返す場合
前の4小節を繰り返す場合
「リピート」は指定された場所、もしくは曲頭に戻ることを指示する記号です。「:」が左にあるリピート記号から「:」が左にあるリピート記号まで戻ります。
リピート記号で囲まれた小節を1回繰り返します。
リピート記号が1つしかない場合は曲頭まで戻ります。
左右に「:」が付いている場合は両方の役割を持っています。
「1番カッコ」で囲まれた小節を初めて通る場合は演奏しますが、リピート等でもう一度繰り返す場合には演奏を行わず次の小節に進みます。ほとんどの場合「2番カッコ」と一緒に使用されるため、2番カッコに進んでください。また、繰り返しが多く、更にパターンが変わる場合は3番カッコ、4番カッコと増えていく場合もあります。
「D.C.」は「ダ・カーポ」と読み、曲頭に戻ることを指示する記号です。
「D.S.」は「ダル・セーニョ」と読み、「セーニョ」に戻ることを指示する記号です。
「セーニョ」は「D.S.」から戻る場所を示す記号です。
「トゥ・コーダ」と読み、「コーダ」記号のある小節に飛ぶことを意味します。「D.S.」「D.C.」で繰り返しがあった後に使用されます。
「To Coda」から飛ぶ場所を示す記号です。
※同じ形で記号の下に「Coda」の文字がない場合、「ヴィーデ」を示す場合もあります。ヴィーデも「To Coda」と同様に同記号の場所に飛ぶという指示を示しますが、楽譜を省略する場合に用いられることもあります。
「フェルマータ」は拍子を無視して音符や休符を伸ばし続けることを表します。「Fine」や「終止線」と同じようにしようされることもあります。
「フィーネ」と読み、曲の終わりを表します。「To Coda」と同様に「D.S.」「D.C.」した後に使用されることが多いです。(フェルマータを用いる場合や2つ組み合わせた記載されている場合もあります。)
「ダ・カーポ・アル・コーダ」と読み、「曲の最初に戻ってから、コーダに飛ぶ」という意味を持ちます。
「ダ・カーポ・アル・フィーネ」と読み、「曲の最初に戻ってから、Fineで終わる」という意味を持ちます。
「ダル・セーニョ・アル・コーダ」と読み、「セーニョに戻ってから、コーダに飛ぶ」という意味を持ちます。
「ダル・セーニョ・アル・コーダ」と読み、「セーニョに戻ってから、Fineで終わる」という意味を持ちます。
基本的な楽譜の読み方をマスターしておけばドラム譜でなくとも曲の構成やサイズ感が分かるため、曲を覚える際にも非常に役立ちます。複雑な曲になればなるほどその効果を感じられますので、色々な楽譜を読んで身につけましょう。
次は基本的なドラム譜の読み方を解説する「《初心者必見!》ドラム譜の読み方、書き方《②ドラム譜の基本編》」を読むことをおすすめします。
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