バスドラム基礎講座《名称や素材など解説》[記事公開日]2022年8月24日
[最終更新日]2022年8月25日

バスドラム

マーチングバンドやクラシック音楽では手で演奏し、ドラムセットに組み込まれた際には足で演奏する、ドラム類の中でも特殊な「バスドラム」はドラムセットを構成する大切なドラムですが、スネアドラムやシンバルに比べるとパーツの名称など意外と知らないことがあるかもしれません。この記事では「バスドラム」の名称や素材に関してなどの解説を行います。

ドラムセットの基礎知識や選び方はこちらの記事を参考にしてください。
初心者必見!ドラムセット基礎講座《名称と役割》&価格帯別おすすめドラムセット

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1:バスドラム基礎知識 2:素材について 3:フィニッシュについて 4:特選おすすめシリーズ5選

バスドラム基礎知識

キックドラム

「バスドラム」はドラムセットの中で最も低い音が特徴で、専用の「キックペダル」で演奏し、リズム、ビートの中心となる役割を担っています。そのまま鳴らすとサスティーンが長く、シェル内部に毛布やミュート材などを入れることによりタイトなサウンドに変化します。スタンダードなサイズは22″ × 18″です。

バスドラムを1つセットしている場合は「ワンバス」、2つのバスドラムをセットしている場合は「ツーバス」と呼び、両足でキックペダルを操作することにより演奏します。省スペースや持ち運びの点からワンバスをツーバスのように演奏できる「ツインペダル」も開発されています。

クラシック音楽やマーチングでは、バスドラムを専用のスタンドに置いたり、キャリアホルダーで肩にかけ、手に持ったマレットによって演奏します。ドラムセットで使用するバスドラムとは別物となっており、「コンサートバスドラム」と呼ばれることが多いです。

パーツの名称と役割

バスドラムの名称

各部の名称

「バスドラム」を構成するパーツの名称と役割を解説します。

フロントヘッド

「レゾナンスヘッド」とも呼ばれる「フロントヘッド」は打面と逆側のヘッドを指します。メーカーのロゴやバンドのマークなどが印字されていることが多く、ドラムセットの顔とも言える部分です。タム類などの「ボトムヘッド」と同じくサスティーンのピッチをチューニングをするヘッドです。厚さは標準的な「アンバサダー」が多く使用されます。

ポートホール

「ポートホール」は「フロントヘッド」に開けられた穴を指します。「エアホール」と同じく空気が抜ける穴となっており、特に「バスドラム」の場合は大きさや場所によってアタック音とサスティーンのバランスを調整する重要な役割を持ちます。穴が中心に近く、大きいほどアタック音が強調され、穴が中心から離れ、小さいほどサスティーンが伸びるようになります。ジャズなどでは穴を開けずに使用する場合もあります。

フロントフープ

「フロンドヘッド」はタム類などの「フープ(リム)」と同じ役割を持ちますが、バスドラムの場合、金属製ではなく木製であり、形状もバスドラム専用のものとなっています。セットする際に向きを間違えやすいですが、ヘッドとの接地面が斜めになっているかどうかで見分けることができます。

シェル

「シェル」は「胴」を意味し、サウンドを決定付ける重要な部分であり、主に木材で作られていることがほとんどです。タムやバスドラムに使用される場合は「合板」が多いですが、「単板」や「ステイブ」で製作されることもあります。木材の場合、温度や湿度に影響を受けやすいことも覚えておきましょう。

エアホール

「エアホール」(「ベントホール」)は空気を逃すための穴として開けられており、これによりサウンドが抜けるようになります。エアホールがない場合は詰まったサウンドになりやすいため、ほとんどのドラム類には開けてあるのが確認できると思います。大きさや数などはメーカーやシリーズ、楽器の種類によって異なります。

タムホルダーベース

「タムホルダーベース」(もしくは「タムマウントブラケット」)は「タムホルダー」を「バスドラム」と接続させるパーツであり、これにより「タムタム」をバスドラム上にセッティングすることができます。メーカーやモデル、年式によりパイプ径や長さが違うことがあるため、パーツを購入する際は注意してください。タムスタンドを使用するドラムセットの場合はタムホルダーベースが付いておらず、後付けすることは非常に難しいため、チェックが必要です。

バスドラムフック

「クロー」とも呼ばれ、手鍵や鉤爪のように引っ掛けることで「フープ」を抑えるのが「バスドラムフック」です。「テンションボルト」に鉤爪部分が付いているような形状のため、他のドラム類と同じくチューニングキーを用いてチューニングすることができます。こちらもメーカーによって形状が違うため、購入の際は気を付けましょう。

ラグ

「テンションボルト」の受け皿になっているのが「ラグ」です。各メーカーで様々な形状のものが作られており、「シェル」への干渉を少ないものが好まれています。メンテナンス時には内側からプラスドライバーでしっかり増し締めしておくことをオススメします。

スパー

「バスドラム」を支える役割をするのが尾根や蹴爪を意味する「スパー」です。スパーによってフロント側を地面から浮かすことで抜ける音にすることができ、「キックペダル」を踏んだ時にバスドラムがずれることを防ぎます。手の平が入る程度の隙間を空けるのが一般的です。

バターヘッド

タム類と同じく、打面側のヘッドを「バターヘッド」と呼びますが、「バスドラム」の場合は外周が2枚重ね構造になっている「ピンストライプ」系統のヘッドがよく使用されます。また、「キックペダル」の「ビーター」が接地する部分にはヘッドを保護し、アタック音を強調する「インパクトパッド」を貼り付けられていることもあります。

バックフープ

「バックフープ」には「キックペダル」を噛ませる部分にゴムや金属プレートが付いていることがほとんどです。つける位置や「フロントフープ」と間違ってしまうと、やり直しが大変なため、取り付ける際には必ずチェックしておきましょう。グラデーション系の塗装が施されているモデルであればそれも判断基準になります。

バスドラムの素材について

素材

タムやバスドラムに使用される素材のほとんどは「木材」であり、その種類によって音色が変わります。ドラムセットを選ぶ際のポイントとして把握しておくと良いでしょう。また、木材以外で使用される事のある素材に関しても触れていきます。

木材

現在販売されているタムやバスドラムの9割が「木材」によって作られており、各メーカー、シリーズによって使用される木材は様々ですが、それぞれのサウンドを決定付ける大きな要素となっています。木材ごとのサウンド特性を把握しておく事はかなり重要と言えるでしょう。違う種類の木材を組み合わせて作られることも多くあります。加工方法においては次の3つになります。

  • ソリッド:「単板」つまり1枚の板で作られるのが「ソリッド」です。非常に抜けの良いサウンドを得られますが、加工が難しく、コストもかかる製法です。
  • プライ:最もポピュラーな製法が複数の板を組み合わせた「合板」である「プライ」です。3枚の板を組み合わせたものは3プライと呼びます。
  • ステイブ:ブロック状に切った板を円形状に組み合わせていくのが「ステイブ」です。「ソリッド」に近いサウンドが得られますが、コストもかかります。

メイプル

メイプル

ドラム類に使用される最もポピュラーな木材の1つが「メイプル」です。ほとんどのメーカーでメイプル材を使用したドラムをラインナップしており、サウンドの特性はやや低音が強い印象ですが、明るく抜けの良いサウンドは様々なジャンルに対応できます。迷った際にはメイプルを選んでおくと間違いは無いでしょう。

主なシリーズ:Ludwig / Classic Maple、DW / Collector’s Mapleなど


バーチ

「メイプル」と並びポピュラーな木材が「バーチ」です。生息域であるヨーロッパや日本で多く使用されており、現在では世界中のメーカーでバーチ製のドラムをラインナップしています。中低域のサスティーンが短めで、高音が伸び、アタックが強調されるサウンドが特徴であり、特にタムやバスドラムには相性が良いと言える木材です。

主なシリーズ:YAMAHA / Recording Custom、SONOR / SQ1など


マホガニー

「ホンジュラスマホガニー」や「アフリカンマホガニー」などの種類がありますが、それらをまとめて「マホガニー」と呼称します。柔らかくダークなサウンドが特徴ですが、単体で使用されることは少なく、「ポプラ」や「バーチ」などの木材と組み合わせて使用されることがほとんどです。

主なシリーズ:Ludwig / Legacy Mahogany、CANOPUS / Mahoganyなど


ブビンガ

木材の中でもかなり硬く重い部類に入るのが「ブビンガ」であす。それに応じてサウンドもパワーがあり、中低音がしっかり鳴るサウンド特性を持っています。また、重い=密度が高いため、レスポンスの速さも特徴の1つです。メタルやハードロックなどの激しい音楽の中でも埋もれることはありません。

主なシリーズ:TAMA / Star Classic Bubinga、CANOPUS / Save Bubingaなど


ウォルナット

「ウォルナット」は硬い木材であり、「メイプル」に近い特性を持ちますが、やや中低音が強めです。ずっしりとしていますが、歯切れの良さも併せ持つ、モダンなサウンドと言えるでしょう。メイプルに物足りなさを感じた場合は試してみると良いかもしれません。

主なシリーズ:TAMA / Star Walnut、NATAL / Walnut Originalsなど


ビーチ

「ビーチ」をラインナップしているメーカーは多くありませんが、ヨーロッパでは古くから使用されていた木材の1つであり、特に「SONOR」が採用していたことで有名です。高音から低音までバランス良く鳴らすことができ、特にヴィンテージサウンドを求めている方におすすめです。

主なシリーズ:SONOR / Vintageなど


オーク

ドラムスティックの素材としても使われている「オーク」は硬く、耐久性の高い木材ですが、逆に加工が難しいと言われています。そのため、オークのドラムをラインナップしているメーカーは多くありませんが、パワーのあるサウンドを求めている方は候補の1つに入れておくと良いでしょう。

主なシリーズ:Ludwig / Classic Oak、YAMAHA / Live Custom Hybrid Oakなど


ポプラ

軽く、柔らかい木材である「ポプラ」はサウンドも軽やかで柔らかな印象を持ち、低価格モデルに使用されるイメージが強いですが、ドラムを作る際には古くから使用されてきました。単体では耐久性が低いため、「メイプル」や「バーチ」と組み合わせることで真価を発揮します。

主なシリーズ:SONOR / AQX、TAMA / Imperialstarなど


ガム

「ガム」は「Gretsch」が採用していたことで有名な木材であり、「メイプル」などと組み合わせて使用されるプライ材です。メイプルなどの高音が強い木材に足りない中低域のサウンドを補強する役割を担っています。ヴィンテージサウンドが欲しい方はガムが使用されているドラムがマッチするかもしれません。

主なシリーズ:Gretsch / USA Custom、Pearl / Masters Maple Gumなど


チェリー

「チェリー」は程よい硬さを持つ木材で、中音域がやや強めなサウンドを持っています。程良いアタック音と柔らかいサウスティーンが特徴でポップスやR&Bなど、歌モノ系のジャンルとは相性が良いでしょう。ラインナップしているメーカーが少ないため、手に入れることが難しいのが現状です。

主なシリーズ:DW / Collector’s CHERRYなど


スプルース

アコースティックギターの素材として有名な「スプルース」で作られたドラムセットも存在します。中音域が強く、明るく柔らかいサウンドのため、様々なジャンルに合わせやすいのが特徴です。こちらもラインナップしているメーカーが少なく国内では入手が難しいと思われます。

主なシリーズ:TAMA / S.L.P. Drum Kit Fat Spruceなど


アッシュ

「アッシュ」の特徴は抜ける高音と短いサスティーンによるタイトなサウンドであり、手数の多いフュージョンや16ビートを多用するファンクなどに適した木材と言えるでしょう。「ポプラ」などと組み合わせることが多く見られます。

主なシリーズ:CANOPUS / Ashなど


カプール

近年注目を浴びている木材の1つである「カプール」は低音の効いたアタック音と暖かみのある倍音が特徴です。ファンクやゴスペルなどに適していますが、硬めであり耐久性にも優れているためロック系統のジャンルにもマッチしやすい木材です。

主なシリーズ:S.L.P. Drum Kit Dynamic Kapurなど


アクリル

「Ludwig」の「Vistalite」シリーズで初めて登場した「アクリル」セットは、現在では多くのメーカーが取り入れています。強いアタック音と短いサスティーンが特徴で木材にはない無機質なサウンドです。ハードロックやメタル系のドラマーに好まれる傾向がありますが、木材と違い天候の影響を受けにくいため、レコーディングやツアーなどでも活躍します。何よりアクリルならではのルックスは唯一無二です。

主なシリーズ:Ludwig / Vistalite、Pearl / Crystal Beat


金属

過去にはいくつかのメーカーから「スチール」製などのドラムがリリースされていましたが、現在では一部のメーカーでしか見られません。特に国内では中古以外で見つけることはほぼ無いでしょう。金属製のスネアドラムをイメージすると分かりやすいですが、「木材」や「アクリル」よりも強いアタック音と豊かな倍音とサスティーンが特徴ですが、チューニングはその分難しくもあります。

主なシリーズ:TAMA / S.L.P. Drum Kit Big Black Steel、Q DRUM CO. / Brass,Copper,Steelなど


フィニッシュについて

「シェル」に施される「フィニッシュ」にも様々あり、見た目はもちろんですが、サウンドに及ぼす影響も少なくありません。ここではフィニッシュについての解説を行います。

カバリング

最もポピュラーな「フィニッシュ」が「カバリング」であり、薄いシートをシェルの外側に貼り付ける方法です。塗装ではできない複雑な柄や色を表現でき、低コストでできるのが特徴です。

ラッカー

「ウレタン」「UV」「ニトロセルロース」などの種類がありますが、総じて「ラッカーフィニッシュ」と言います。「シェル」の木材自体に直接塗装するため、「カバリング」よりもサウンドの変化が少ないのが特徴です。

オイル

「オイルフィニッシュ」は木材本来のルックスをそのまま活かし、ワックスやニスなどを薄くコーティングをする程度になります。サウンドは最もナチュラルですが、耐久性は高くありません。

特選おすすめシリーズ5選

最後に価格は度外視したおすすめのメーカー、シリーズを紹介します。ドラマーだったら一度は憧れるモデルであり、所有したいと感じるものばかりです。もし予算に余裕があれば検討する価値は間違いなくあるでしょう。

※アルファベット順

DW / JAZZ

「DW / JAZZ」シリーズは70年代後半から80年代前半のアメリカンサウンドをもとに考案されており、シェルにはメイプルとガムを採用し、ヴィンテージとモダンが同居する超オールラウンドモデルです。モデル名には「ジャズ」と冠していますが、どのようなジャンル、場所においても活躍できるため、使い勝手の良いドラムと言えるでしょう。


Ludwig / Legacy Mahogany

Ludwigのフラッグシップモデルである「Ludwig / Legacy Mahogany」はヴィンテージサウンドを最も体現しているモデルの1つです。マホガニーとポプラの合板にメイプルのレインフォースメントを装着しており、高音から低音までしっかり鳴ってくれる、モダン音楽でも使いやすいサウンドは多くのドラマーの憧れです。


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SONOR / SQ2

「SONOR / SQ2」は完全オーダーモデルであり、SONORの専用サイトから自身でシェルやパーツの素材からサイズなど全てカスタマイズすることができます。現在、シェルの素材はバーチ、メイプル、ビーチ、アクリルから選択可能となっています。自由、そして手軽にカスタマイズ出来るのは魅力的であり、購入価格も分かるので目標にするのも良いですね。


TAMA / Star Classic Bubinga

ハードロックやメタルなどヘヴィなサウンドが必要な方には「TAMA / Star Classic Bubinga」をおすすめします。ブビンガを採用していることから分かるように、強烈なアタック音と低音域が特徴であり、抜群のパワーを誇ります。世界中のヘヴィドラマー達が愛用しているのも頷けるクオリティです。


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YAMAHA / Recording Custom

現行の「YAMAHA / Recording Custom」は、当時世界中の多くのドラマー達が愛用していた名器中の名器「YD9000」をもとに「スティーヴ・ガッド」に協力を依頼し、再び誕生したモデルです。THEバーチサウンドと言えばこのモデルであり、レスポンスが良く、輪郭のくっきりしたアタック音と程良いサスティーンはオールラウンドに使用することが出来るでしょう。


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ここまで解説させていただいたバスドラムの知識の中で知らなかった部分はあったでしょうか。全て知っていた方はかなりのドラムマニアと言えるでしょう。この記事がドラムセットを選ぶ手助けになれば幸いです。合わせてこちらの記事もご確認ください。タムタム、フロアタム基礎講座《名称や素材など解説》