知っていると得する豆知識!ドラムの歴史を振り返ろう!《第二部 ドラムセットやプレイスタイルの発展》[記事公開日]2022年12月29日
[最終更新日]2023年1月26日

第一部
知っていると得する豆知識!ドラムの歴史を振り返ろう《第一部 ドラムセットの誕生》

第三部
知っていると得する豆知識!ドラムの歴史を振り返ろう!《第三部 クロスオーバーによる更なる進化》

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1940年〜1950年代ビバップ(モダンジャズ)への発展とドラムセットの変化ブルースから発展したR&B、そしてロックンロールの誕生黒人音楽の影響が更に強まったソウルミュージック 1960年代ロックンロールからロックへ、現代におけるポピュラー音楽の確立 1960年代後半〜1970年代前半ロックが生んだ新たなジャンル時を同じくして世界各地で誕生、発展したジャンル

1940年〜1950年代

ビバップ(モダンジャズ)への発展とドラムセットの変化

「ジーン・クルーパ」氏とイギリスのドラムメーカー「Slingerland」社が開催した全米のドラムコンテストで優勝経験もあるジャズドラマー「ルイ・ベルソン」氏は1940年代から第一線で活躍しており、学生時代から構想していた2台のバスドラムをドラムセットに組み込む「ダブルベースドラム(ツーバス)」を初めて実践し、それ以降ジャズドラマーの間で流行することになります。


※1955年当時「ルイ・ベルソン」氏のツーバスを用いたドラムソロ

1940年代からはスウィングジャズからモダンジャズとも言われるビバップの時代に切り替わり、ミュージシャン個人個人の演奏がより自由に行われるようになり「フィリー・ジョー・ジョーンズ」氏をはじめ「アート・ブレイキー」氏や「マックス・ローチ」氏、「ケニー・クラーク」氏、「ロイ・ヘインズ」氏、「エルヴィン・ジョーンズ」氏など多くのレジェンドドラマー達が台頭しました。


※ビバップ、特にハードバップを代表するドラマー「フィリー・ジョー・ジョーンズ」氏。


※ナイアガラロールやシンバルレガートの名手「アート・ブレイキー」氏。


※曲中にドラムソロを取り入れた第一人者でもある「マックス・ローチ」氏。


※バスドラムを入れたコンピングを生み出した「ケニー・クラーク」氏。


※現在97歳でなお活動を続けているリビングレジェンド「ロイ・ヘインズ」氏。


※独特かつ難解なリズム構築が特徴的な「エルヴィン・ジョーンズ」氏。

ドラムセットもビッグバンドから少人数編成に変化したこともあり、ツーバスとは対照的なワンタム、ワンフロアの小型キットも多用されるようになります。バスドラムは20インチ、シンバル類も18〜20インチ程度のものが2枚のシンプルなセッティングは現在のコンボキットにも多く見られるスタイルです。

ブルースから発展したR&B、そしてロックンロールの誕生

ジャズが発展していった1940年代にはブルースも更なる発展をしていました。1930年代に生まれた教会音楽であるゴスペルとブルースを叫ぶように歌うR&B(リズム&ブルース)が誕生し、その後1950年代には白人のフォークソングだったカントリーと融合したことでロックンロールが誕生したと言われています。最初のギターヒーロー「チャック・ベリー」氏や永遠のロックスター「エルヴィス・プレスリー」氏をはじめ、「リトル・リチャード」氏や「ファッツ・ドミノ」氏、「ビル・ヘイリー」氏、「バディ・ホリー」氏など多くのミュージシャンがロックンロールを演奏していました。

初めてバックビート(2拍4拍)でスネアドラムを叩き強調する8ビートはこの時に誕生したとされており、後のポピュラー音楽の大きな礎となっていますが、「ファッツ・ドミノ」氏や「リトル・リチャード」と一緒に演奏していたドラマー「アール・パーマー」氏が初めて取り入れたと言われています。

https://www.youtube.com/watch?v=u0Ujb6lJ_mM
※「リトル・リチャード」氏のヒット曲をほとんど録音していた「アール・パーマー」氏。

ドラムセットはシンプルなワンタム、ワンフロア、ハイハットにライドシンバルのシンプルなセットが使用されていることがほとんどでした。

黒人音楽の影響が更に強まったソウルミュージック

R&Bとカントリーが融合したロックンロールが誕生した一方で、R&Bからゴスペルとブルースの影響を色濃く受け発展したのがソウルです。活躍したのはこの年代の後ですが、ソウルの女王と呼ばれた「アレサ・フランクリン」氏を支えたドラマーが「バーナード・パーディ」氏や「ジャイムズ・ギャドソン」氏です。


※”パーディー・シャッフル”と呼ばれるリズムパターンを解説する「バーナード・パーディー」氏。


※「ジェイムズ・ギャドソン」氏のソウルをよりポピュラーテイストにしたモータウンへの貢献度は計り知れません。

この時代に設立されたメーカー

  • MEINL(1951年):ドイツで設立された世界4大シンバルメーカーの1つでありながらシンバルだけでなく、パーカッションの製造も幅広く行っています。
  • Pearl(1952年):会社設立前である1946年から打楽器製造を行なっており、ドラムセットからハードウェア、アクセサリーまで製造しています。
  • REMO(1957年):会社設立時に発表した天候や気候の変化に影響を受けないマイラー素材のドラムヘッドは革命を起こし、現在のドラムヘッドの基本となっています。

1960年代

ロックンロールからロックへ、ポピュラー音楽の完成

1960年代、ロックンロールはアメリカからイギリスへと舞台を移し、「The Beatles」をはじめ「The Rolling Stones」や「The Who」によってロックという新たな音楽ジャンルに発展し、現代において最も大衆的なポピュラー音楽となりました。現在ハードロック、メタル、パンク、ハードコア、フュージョンやそれらが更に発展したジャンルとクロスフュージョンしたジャンルは全て大まかに言えばこのロックが基本となっています。ロックはモッズやヒッピーなどのカルチャー誕生のきっかけにもなっており、社会的にも非常に大きい影響を与えた音楽と言えるでしょう。

「The Beatles」の「リンゴ・スター」氏や「The Rolling Stones」の「チャーリー・ワッツ」氏はシンプルなワンタム、ワンフロアのドラムセットを使用しており、対照的に「The Who」の「キース・ムーン」氏はツーバスやタムを増やした多点キットを好んで使用しており、ドラマーの個性がドラムセットにも現れるようになっていきます。ロックンロールで生まれた8ビートを中心としたリズムセクションは変わっておらず、これ以降も基本的なリズムパターンとして定着します。


※「Ludwig」のイメージが強い「リンゴ・スター」氏ですが、「Slingerland」や「Premier」も使用していました。


※「チャーリー・ワッツ」氏はシンプルな「Gretsch」のドラムセットを使い続けていました。


破天荒なスタイルもロックを体現していた「キース・ムーン」氏は「Premier」のツーバス多点キットで有名。

この時代に設立されたメーカー

  • Camco(1961年):アメリカのイリノイ州オークローンで設立されたドラムメーカー。チェーンドライブのキックペダルの元祖とも言える存在を開発しました。

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