《配信・レコーディング》ドラムに適した録音機材の選び方《基礎知識とおすすめ機材紹介》[記事公開日]2023年3月22日
[最終更新日]2024年3月30日

目次

1:録音(レコーディング)とは? 2:アコースティックドラム or 電子ドラム、どちらを選ぶ?アコースティックドラム録音のメリット、デメリット電子ドラム録音のメリット、デメリット 3:録音環境ごとにおすすめな録音機材を紹介録音環境を問わずおすすめな機材アコースティックドラム録音におすすめな機材電子ドラム録音におすすめな機材

録音環境ごとにおすすめな録音機材を紹介

レコーディング時に使いやすく、効率化が図れる機材は録音環境によって大きく変わってきます。ただ闇雲に高い機材を買えば良いという訳でもありませんので、しっかりとスペックや機能性を見極める必要があります。現在はインターネットでそれらを確認することは容易になっていますので、購入前にはよく調べておきましょう。ここでは「録音環境を問わずおすすめな機材」「アコースティックドラム録音におすすめな機材」「電子ドラム録音におすすめな機材」の3つに分けてそれぞれにおすすめな録音機材を紹介していきます。

録音環境を問わずおすすめな機材

PC(パソコン)

現代の生活において重要かつ必要性の高いPCは録音機材としても必須レベルです。音楽をやっていればよく耳にするであろう「DTM」とは、デスクトップ・ミュージックの略称であり、デスクトップ=PCで作る音楽という意味です。
自宅で腰を据えてじっくり作業したい方や打ち込みがメインの方はデスクトップPC、スタジオなどへの持ち運びをするならノートPCがおすすめです。ドラマーは持ち運びが必要な場合が多いため、持ち運びやセッティングのしやすさ等を考慮するとノートPCが良いでしょう。もちろんデスクトップPCの方がハイスペックなものが多いため、レコーディングには適していますが、ドラム単体のレコーディングのみと考えれば取り回しの点からノートPCをおすすめします。もし予算に余裕があるのであれば、ノートPCでレコーディングし、デスクトップPCで編集するのがベストな環境です。

OSに関してはWindows、Macどちらでも問題ありませんが、使用するDAWや録音、編集作業を共同で行う方々と揃えるとよいでしょう。Macであれば30万円程度の予算が必要ですが、価格を安く抑えるのであればWindowsでオーダーするのが最もコストパフォーマンスが高く、13万円程度で購入することが可能です。

特に気にした方が良い部分のスペックを表にまとめましたので、確認してから購入してください。PC選びを失敗するとDAWが起動しない、フリーズしてしまうなどのトラブルも起きてしまいますのでしっかり選びましょう。

項目 推奨スペック 必要スペック
CPU Core i7
2.8GHz以上
Core i5
2.8GHz
メモリ 32GB以上 8GB
ストレージ SSD 1TB以上 SSD 256GB

上記の条件を満たすことのできるおすすめなPCを紹介します。

パソコン工房 / オーダーPC

「パソコン工房」は自分の好きなスペックをオーダーして作成するBTOパソコンメーカーです。大体13万円程度の予算である程度どのような環境でも対応できるスペックのPCがオーダー可能となっていますが、自身の録音環境に合わせて必要なスペックのPCをオーダーしましょう。店舗もありますので、分からない部分があれば聞きに行くことができるのもおすすめなポイントです。

※価格、スペック等は時期によって変動する可能性がございます。

Apple / Mac Book Pro

DAWソフトである「Logic」や「GarageBand」を使用するのであればMacが必須です。また、使用している方も非常に多く、データのやり取りや互換性の点からおすすめできますが、録音、編集に使用する場合にはある程度のスペックが求められるため、「Mac Book Pro」以上のPCがおすすめです。レコーディング以外での活用方法なども考慮して検討すると良いでしょう。

※価格、スペック等は時期によって変動する可能性がございます。

  

スマホ、タブレット

最もお手軽かつ低コストで録音する方法はスマホやタブレットのボイスレコーダーアプリでの録音です。ちょっとしたフレーズの確認やアイディアを録っておくのには適しており、音質などのクオリティ面に関しては期待できませんが、スマホ、タブレットにも対応した音楽制作アプリやマイク等を使用して録音を行えばクオリティを上げることは可能です。iPhone、Androidそれぞれでしか使用できないアプリや機材もあるため購入する前にはよく確認しておきましょう。

※正確に言えば低コストではないですが、ほぼ全ての方がスマホを所持している時代ということを考慮しています。

ICレコーダー

こちらも手軽で持ち運びが容易な録音機材として多くの方が使用しています。専用のマイクが内蔵されているため、高い音質で録音できることやSCカードなどに保存する場合が多く、かなりの容量を録っておけるという点がメリットと言えるでしょう。価格帯の差が激しいため、購入前にはインターフェイス機能の有無やレコーダー専用の編集ソフトの付属、入出力の違いなどをチェックしておくことが需要です。「ZOOM」や「TASCAM」等の楽器関連機材を取り扱っているメーカーのICレコーダーがおすすめです。本格的なレコーディングにはあまり向きませんが、練習時の確認などには最適です。

Zoom / H1n

お手軽かつ使いやすさを考えたときにおすすめなのが「Zoom / H1n」です。コンパクトで持ち運びもしやすく、電池駆動、アダプタ、USBバスパワーでも稼働できるためどのような場所でも使用可能です。練習時に自分の音を録音して客観的に聴く癖をつけておけば、レコーディング時にも困ることが少ないでしょう。


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MTR(マルチトラック・レコーダー)

DTMが一般的に普及する前は、マイクとトラック数に応じて楽器毎に個別で録音が可能であり、手軽に本格的なレコーディングが行えることから、数多くのバンドやミュージシャンがMTRを使用していました。全員一緒に演奏してレコーディングを行う「一発録り」という言葉もMTRの普及によって生まれています。しかし、現在ではデジタルMTRが僅かに生産されているのみとなっており、多くのユーザーはDTM(デスクトップ・ミュージック)に移行しています。

Zoom / R20

最大8トラック同時録音が可能なMTR「Zoom / R20」はタッチパネルも搭載しており、直感的にレコーディングが行える機材となっています。16トラック使用できますのでバンドのデモ音源等も作成することが可能であり、リズムトラックの作成やMIDI接続での録音、エフェクトも内蔵しており、ミックスからマスタリングまで行えます。オーディオインターフェイスとしても機能しますので、PC(DAW)録音への移行ができるのも選びやすい点です。


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DAW(ダウ)

DAWとは「Digital Audio Workstation(デジタル・オーディオ・ワークステーション)」の略称であり、音楽制作を行うソフトウェアを指します。録音に特化したもの、打ち込みに特化したもの、両方マルチに使いやすいものなどDAWによって特色がありますので、自分自身にあったDAWを選ぶことが重要になります。体験版や無料で使用できるソフトも多くありますので、まずは色々と試してみてPCやDAWの操作に慣れながら自信が使いやすいDAWを決めていくのがおすすめです。

Cubase

プロ、アマ問わず国内で最も使用されているDAWソフトが「Cubase」です。Windows、Macどちらでも使用可能であり、豊富なプラグインも内蔵しており、多種多様な音楽ジャンルに対応できるレンジの広さや初心者でも使用しやすいUI(ユーザーインターフェイス)などが特徴です。また録音、MIDI打ち込みの観点から見てもオールマイティに使用できるソフトのため、誰にでもおすすめできます。グレードは最上グレードの「PRO」、やや機能制限のある「ARTIST」、最低限のグレードである「ELEMENTS」、無料体験版の「AI」の4つがあります。学割版もあるため、「AI」を試して使いやすいと感じたら「PRO」の購入をおすすめします。


Logic Pro

国内No.2のシェア率を誇る「Logic Pro」はApple製品専用のDAWソフトであり、グレードも1つしかありませんが、約¥30,000程度で購入で可能、アップグレードも無料なためコストパフォーマンスに優れています。オールジャンルに対応できるプラグインやUIはCubaseとも共通であり、フリートライアルも90日間行えますので十分に試してから購入する事も良いポイントです。同じくApple製品専用の「GarageBand」も人気の高いDAWソフトですが、無料のため機能の差は歴然です。Macユーザーには断然Logic Proをおすすめします。


国内と海外で人気のDAWは違う?

つづみちゃん

国内で人気な「Cubase」「Logic Pro」を紹介しましたが、世界的的に見るとどうでしょうか?実は世界的に最も人気のあるDAWソフトは「Ableton」、2番目が「Logic」となっています。「Cubase」は4位に着けていますが、トップとの差は約2倍となっており、国内のシェア率とは真逆となっています。国によって流行る音楽ジャンルも違いますので、シェア率の差は当然ですが、中々興味深いデータですね。また、LogicはApple製品のみでしか使用できないにも関わらず、国内外問わずトップクラスの人気というのも驚愕です。グローバル化が進んでいる世の中ですので海外進出を考えている方はDAWもこだわってみてはいかがでしょうか?

※参照サイト:Sleepfreaksmacprovideo

ヘッドホン、イヤーモニター

ヘッドホン(もしくはイヤーモニター)はレコーディングにおいて非常に重要な機材です。音楽鑑賞用とは違うチューニングが施されており、録音された原音に近い状態で聞くことができます。細かい部分まで聞き取れるスペックやストレスなく演奏ができるフィット感など、自身に合ったものを探しましょう。
ヘッドホンはハウジング構造の違いで大きく分けるとクローズド、オープン、セミオープンの3種類がありますが、録音時は外部音を遮断し、演奏に集中できるクローズド、編集時は空気感を取り込んでモニターできるオープン、日頃の練習時には長時間使用しても聴き疲れしにくいセミオープンがおすすめです。それぞれの構造の違いや特性は以下にまとめておきます。

  • クローズド:最もポピュラーで多くのヘッドホンに採用されているのがクローズド(密閉型)です。ハウジングは完全に閉じられており、外部音を遮断することが最大のメリットで、低音が増幅される傾向にあります。
  • オープン:オープン(開放型)ハウジングがメッシュ等の素材で作られているため外部へ音漏れしますが、空間の広がりを感じながらモニタリングが可能であり、長時間使用しても疲れにくいのがメリットです。高音域が伸びやすい傾向にあります。
  • セミオープン:オープンとクローズの中間の特性を持つのがセミオープン(半開放型)です。メーカーによっては開発していない場合もありますので種類は少ないタイプです。

beyerdynamic / DT770 PRO

「beyerdynamic / DT770 PRO」は世界標準のドラムモニター用ヘッドフォンとして非常に有名です。アコースティックドラムでも電子ドラムでもドラム特有のレンジの広い周波数をしっかり表現してくれます。32Ω、80Ω、250Ωと3つのΩ数(抵抗値)から選ぶことができますが、ドラム用には80Ωをおすすめします。クローズドタイプのため、演奏に集中することができ、長時間使用しても疲れにくいソフトなイヤーパッドも嬉しい仕様です。


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はイヤモニと略すこともあるイヤーモニターは耳の中にフィットすることで、激しいステージングの中でも外れにくく、モニタリングしやすいことが特徴です。主にライブで使用されるイメージがありますが、レコーディングの際も高い遮音性やフィット感によって演奏時のストレスを軽減することができます。

SHURE / SE846

ヘッドホンだと演奏に集中できないというドラマーも多くいると思いますが、そんな方にはイヤーモニターがおすすめです。特にライブ等で活躍しますが、インイヤータイプになりますので、クローズドヘッドホンと同じように外部音を遮断し、演奏に集中することができるため、レコーディングでも十分に使用可能です。数あるイヤーモニターの中でも圧倒的なクオリティを誇るのが「SHURE / SE846」です。価格は高めですが、リケーブルやイヤーパッドの交換等も可能であり、長く使用することもできますので、聴き比べできる機会があれば間違いなくしておいた方が良いと言えるアイテムです。


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モニタースピーカー

心地よいリスニング環境を作れる音楽鑑賞用のスピーカーとは違い、演奏の細かい部分まで聞けるようになっているのがモニタースピーカーであり、主に編集、ミックス、マスタリング時に必要であり、効率化や楽曲のクオリティを高めることができます。
レコーディング時には必ずしも必要ではありませんが、録音後にヘッドホンやイヤーモニターだけで確認し、いざ編集するときに違和感を覚える場合がありますので、逐一モニタースピーカーで確認することは非常に重要です。持っておいて損はありませんので、余裕があれば揃えておきましょう。
高価格なモデルも多く存在しており、基本的には価格と音質は比例していますが、最低限2つセットで3万円以上のモニタースピーカーであればストレスなく使用することができます。モニタースピーカーは1つで売られていることも多いので、単体なのかセットなのかよく見てから購入してください。

YAMAHA / HS5

モニタースピーカーのド定番であり、プロアマ問わずほとんどのDTM経験者が持っているのが「YAMAHA / HS5」です。フラット(低音が極端に強調される等の周波数特性を持たない)に近く、HS5でモニターしながら作業をすれば完成時にも大きな違和感はあまり生まれないでしょう。スマホ等のMP3データで音源を聴く方は非常に多いため、そういった意味では最もおすすめできるモニタースピーカーです。


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ADAM Audio / A7V

プロユースなスペックを持つ「ADAM Audio / A7V」は世界中のエンジニア達が愛用しているモニタースピーカーの1つです。価格は非常に高いですが、41Hz〜42kHzのレンジの広い周波数帯特性を持ち、他のモニタースピーカーでは聞こえない音まで細部まで聴くことができます。原音に忠実なフラット性も併せ持っているため、編集時にも存分に活躍してくれるでしょう。


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モニターセレクター

音楽制作において種類の違うモニターでチェックすることはかなり重要です。オーディオインターフェイスのアウトプットからモニターセレクターに繋ぐことで複数のスピーカーやヘッドホン等に出力することができ、スイッチやボタンによって切り替えたり、ボリュームの調整などが個別にできます。どのモニターでもバランスよく聞こえるように編集することで、良いサウンドをリスナーに届けることができます。また、耳を鍛えるという観点から見てもメリットがあり、バンドメンバーなど複数人でチェックしたい際にも便利です。モデルによって細かく設定が可能であったり、キュー出し等のプラスαの機能も作業効率が増すため効果的です。

MACKIE / Big Knob Studio

「MACKIE / Big Knob Studio」は3入力と2つのモニターアウトとヘッドホン端子を搭載しており、それぞれをスイッチによって切り替え、再生、ミュート、ボリュームコントロールなどの操作が行えます。オーディオインターフェイスとしても使用可能なマルチに使用できるのも魅力的です。シリーズにはオーディオインターフェイス機能の非搭載の2入出力の「Big Knob Passive」、4入力、3出力の「Big Knob Studio+」もありますので、使用用途に応じて選ぶのがおすすめです。筐体が非常に頑丈であり、耐久性が高いのも嬉しいポイントです。


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プラグイン(オーディオリペア)

PC用語としては機能を拡張する意味を持ちますが、DTMにおいては音源やエフェクトを追加できるソフトを指します。ギターやドラムなどの音源のみが入っているものやミックスやマスタリング等でしようするエフェクトを追加するものなどかなり多くのバリエーションのプラグインが発売されています。無料のものから有料のもの、海外サイトでのみ販売されているものなど、多種多様なものがありますので、初心者には選ぶのがやや難しいと言えます。録音環境にもよりますが、ドラマーがすぐに必要になるプラグインはあまりありませんので、他の機材を優先させても問題ありません。
オーディオリペアプラグインはノイズ除去がメインですが、ドラムマイナスワントラックを作成したり、ドラムのみを抜き出すこともできるため、持っていると非常に便利です。

iZotope / RX10

オーディオリペアプラグインの代名詞ともいえるのが「iZotope / RX」シリーズです。AIによって自動でノイズ検出を行なってくれますが、細かい設定も可能であり、気になるホワイトノイズなども自然に除去してくれます。Music Rebalance機能を使用すればドラムトラックのみを抜き出したり、ドラムのみをマイナスすることが可能です。手軽かつクオリティの高いドラムマイナスワントラックを作りたい方におすすめなプラグインです。


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防音室

国内においてアコースティックドラム、電子ドラム共に演奏する場合には防音、防振対策は必要になる場合が多く、特にレコーディングの場合外部からの音も遮断する必要があります。近年では比較的手軽に設置可能になってきていますので、検討してみてはいかがでしょうか。

KAWAI / ナサール ユニット高遮音タイプ

日本のピアノブランド「KAWAI」は防音室の販売や施工も行なっており、ユニットタイプと呼ばれる部屋型の防音室は比較的手軽に導入することができます。「高遮音タイプ」は防音性能Dr-50を謳っていますので、ドラムセットの音量である130dBを80dBまで下げる(130dB-50dB=80dB)ことができますが、注意しなくてはいけない点として80dBは鉄道の線路脇や飛行機の機内程度の音量と言われていますので、完全に遮音ができる訳ではありません。あくまで自宅外への音を極限まで下げるという点で導入を検討すると良いでしょう。電子ドラムは元々80dB程度のため、ほとんど気にならないレベルである30dBまで下げることができます。

MIDIキーボード

DAW上で設定された音源をMIDI信号によって鳴らすことができ、打ち込みの際にあると便利なアイテムがMIDIキーボードです。ドラムのフレーズを考える際やガイドトラックの作成などマウスやキーボードだけでは時間がかかったり、思うように操作できない時に重宝します。レコーディングや編集作業に慣れてきた時に多用することになりますので、最初から揃えておくのもアリです。

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