《配信・レコーディング》ドラムに適した録音機材の選び方《基礎知識とおすすめ機材紹介》[記事公開日]2023年3月22日
[最終更新日]2024年3月30日

ドラマーなら誰しも、一度は「録音(レコーディング)」について考えたことがあるでしょう。数年前まではレコーディングスタジオ等で本格的に録音、編集作業を行うことをイメージする方がほとんどだったと思いますが、ここ数年で自宅等で行うセルフレコーディングや動画配信等が主流になってきています。各メーカーからも様々な環境に適した録音機材が多数販売されていますが、どれを選んで良いのか悩む方も多いでしょう。この記事では録音環境に応じた機材の基礎的な知識の解説とおすすめの機材を紹介します。

目次

1:録音(レコーディング)とは? 2:アコースティックドラム or 電子ドラム、どちらを選ぶ?アコースティックドラム録音のメリット、デメリット電子ドラム録音のメリット、デメリット 3:録音環境ごとにおすすめな録音機材を紹介録音環境を問わずおすすめな機材アコースティックドラム録音におすすめな機材電子ドラム録音におすすめな機材

録音(レコーディング)とは?

声や楽器演奏などの音を音楽ソフト(DAW)に代表される記録媒体に記録することを「録音」と言います。1877年に「トーマス・エジソン」が開発した「アナログレコード」が歴史上初めての記録媒体となっており、空気中の振動を記録、再生させる仕組みでした。その後、1938年にドイツで開発された磁気によって録音する「カセットテープ」もアナログレコードと共に主流となっていきます。これらのアナログ環境で録音を行う際は「アナログMTR(マルチトラック・レコーダー)」を使用して録音が行われていました。
1979年には「フィリップス」「ソニー」の共同開発によって光を使用して録音、再生を行う「CD(コンパクトディスク)」が誕生し、よりコンパクト化した「MD(ミニディスク)」も人気を博しますが、1995年以降、PCの急速な普及に伴ってWAVやMP3といった拡張子が誕生し、マイクの信号を電気に変換する電気録音方式を用いたICレコーダー、デジタルMTRなどの録音機材が発達、現在ではPC上の「DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)」への録音が最もポピュラーな記録媒体となっています。また、リアルタイムで演奏をせずにマウスやキーボード、MIDI機材によって1つ1つの音を入力していく方式を「打ち込み(プログラミング)」と呼び、これも現在の録音方式の1つと言えるでしょう。

※MTRは多重録音機材の総称ですが、一般的にはハードのMTR機材を指すことがほとんどです。

アコースティックドラム or 電子ドラム、どちらを選ぶ?

ドラムに適した録音機材を紹介する前にアコースティックドラムと電子ドラム、どちらをレコーディングで使用するかを決めておきましょう。それぞれの楽器でレコーディングを行う際のメリット、デメリットを解説します。

アコースティックドラム録音のメリット、デメリット

メリット①

最大のメリットはやはり「音色」です。アコースティックドラムならではの音量や音圧、強弱のダイナミクスによる表現力、空気感などの要素は電子ドラムではどうしても再現できない場合があります。自分自身のこだわりもとことん追求していけることがメリットです。

メリット②

アコースティックドラムのレコーディングは音色を揃えたり、パンチイン等、曲中の部分部分での修正が難しく、失敗すると初めから録り直すことも多くある反面、ドラムスキル、テクニックやリズムキープ力の向上に繋がります。よくレコーディングを経験すると上手くなると言われているのはこういった点からです。

デメリット①

まず1つ目のデメリットは録音環境を作るのが大変という点です。コストや時間がかかり、レコーディングする場所も限定されますので、ハードルはかなり高く感じるでしょう。自宅でアコースティックドラムを叩けるのかと言う点から各種機材を揃えるにあたりかなりの予算が求められます。もちろんケースバイケースですが、以下の表にアコースティックドラムの録音時に必要な機材と参考価格をまとめておきます。

必要な機材 参考価格
防音室
(宅録する場合)
300万〜700万
アコースティックドラム
(シンバル、ハードウェア等含む)
50万〜
PC 10万〜
DAW ¥13,000〜
オーディオ
インターフェイス
(8ch以上)
¥35,000〜
マイク
(8本の場合)
¥50,000〜
マイクスタンド
(8本の場合)
¥38,000〜
マイクケーブル
(8本の場合)
¥16,000〜
ミキサー
(インターフェイス内蔵)
¥28,000〜
ヘッドホン
or イヤモニ/td>

¥20,000〜
モニタースピーカー ¥30,000〜

※防音室の価格は住宅の防音性能によって大きく変わります。ドラムセットの価格はある程度のクオリティを考えた時に想定した価格です。

デメリット②

メリット②でも書きましたが、電子ドラムでのレコーディングよりも演奏スキルを求められるため、特に初心者やレコーディング未経験者の方は苦労する場合が多く、自身で想定したよりも時間が掛かってしまいます。しかし、ただのデメリットではなく、とても良い練習にもなるため、時間と気持ちの余裕を持って臨みましょう。

レコーディングスタジオの相場ってどのくらい?

つづみちゃん

本格的にバンドをやっていればレコーディングスタジオでレコーディングを経験することは多いですが、それ以外の場合だと中々経験する機会は多くありません。料金システムや相場なども分からない方が多いと思いますが、実際レコーディングスタジオによって料金システムが異なり、規模や使用機材、エンジニアによって大きく変わります。比較的安いレコーディングスタジオであれば、エンジニア込みの場合で1時間¥8,000〜¥10,000程度、もちろん1時間で終わることはほぼありませんので、8時間と仮定すると(利用時間に応じて割引になることが多いです。)大体¥60,000〜¥80,000程度の料金が相場と言えるでしょう。レコーディングスタジオはドラマーだけでも利用することは可能ですので、是非余裕のある方はチャレンジしてみてください!

自分でドラムをレコーディングする方法を徹底解剖!

電子ドラム録音のメリット、デメリット

メリット①

最大のメリットは自宅でも比較的容易にレコーディングが行える点です。多くの電子ドラムはインターフェイスが内蔵されているため、PCとDAWさえあればすぐにレコーディングが可能です。機材にかかるコストやスペースなども少なく済みますので初心者にもおすすめです。以下の表に電子ドラムでレコーディングを行う際に必要な機材と参考価格をまとめておきます。

必要な機材 参考価格
電子ドラム 18万〜
PC 10万〜
DAW ¥13,000〜
ヘッドホン
or イヤモニ
¥20,000〜
モニタースピーカー ¥30,000〜

※電子ドラムはハイハットスタンドタイプかつインターフェイス内蔵モデル、ハードウェアを含む価格を想定しています。

メリット②

電子ドラムの性能にもよりますが、アコースティックドラムよりも音量の振れ幅や音色の違いが少ないため、レコーディングの時間も少なく済みます。また、あとから一部取り直しをするなど修正を行う場合でも、音色の違いが少ないことから繋ぎやすい点もメリットと言えるでしょう。

デメリット①

メリット②の反面、アコースティックドラムのようなダイナミクスの付け方や細かな部分までの音色の違いを表現することが難しいのがデメリットです。しかし、近年開発されている電子ドラムは高いクオリティを持っていますので、余程経験が豊富なドラマーでなければ電子ドラムでレコーディングしたとは気付かないこともあります。

デメリット

デメリット①に付随し、演奏スキルの向上に関して言えば、アコースティックドラムに劣るでしょう。電子ドラムでいくら良い演奏ができたとしてもアコースティックドラムを叩いた時に違和感を感じたり、自分の思う通りに鳴らないということもあり得ます。自宅では電子ドラムでレコーディングを行いつつ、アコースティックドラムを使用した本格的なレコーディングも一度は経験しておくのがおすすめです。

なるべく安くレコーディングするには?

つづみちゃん

電子ドラムを使用してレコーディングする場合に最も安く済ませる方法としては体験版や無料のDAWを使用しましょう。PCへの負担も少ないため、ある程度どんなPCでも動作します。ヘッドホンやスピーカーもこだわった方が良いですが、普段使用しているものやPCのスピーカーでも作業自体は行えます。まずはDAWの操作やレコーディングの仕組みなどに慣れることが重要なので、初心者の方でも安心してレコーディングを始めてみてください!

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