《ドラムセットの生みの親》Ludwig(ラディック)《ドラムメーカー研究》[記事公開日]2023年6月28日
[最終更新日]2023年7月18日

ドラムセット誕生に大きく関わり、現在に至るまで第一線で多くのドラマー達を支え続ける老舗ドラムメーカーLudwig(ラディック)。この記事ではLudwigの歴史や機材、愛用しているドラマーなどを紹介していきます。

目次

1:Ludwigってどんなメーカー?Ludwigが辿った歴史 2:Ludwigを愛用するドラマーRingo Starr(リンゴ・スター)John Bonham(ジョン・ボーナム)Alex Van Halen(アレックス・ヴァン・ヘイレン)Questlove(クエストラヴ)Sarah Tomek(サラ・トメック) 3:Ludwigの代表的な名機、機材Supraphonic(スープラフォニック)Black Beauty(ブラックビューティ)Acrolite(アクロライト)Jazz Festival(ジャズフェスティバル)Speed King(スピードキング)Vistalite(ビスタライト)Classic Maple(クラシックメイプル)

Ludwigってどんなメーカー?

ブランド及び会社名:Ludwig Drums(ラディック・ドラムス)
旧社名:Ludwig & Ludwig、Leedy & Ludwig、WFL Drum Company、Ludwig Industries
1909年12月11日、アメリカ イリノイ州 シカゴにて設立、現在の拠点はアメリカ ノースカロライナ州 モンローになっており、親会社に「Conn-Selmer(コーン・セルマー)」、子会社に「Musser Mallet Company(ムッサー・マレット・カンパニー)」を持っています。
ドラムセットやハードウェア全般、ティンパニなどのコンサートパーカッションを(過去にはドラムスティックやドラムヘッドなども)製造しており、「Ludwig-Musser(ラディック・ムッサー)」名義でマリンバやビブラフォンなどのクラシカルなパーカッションも製造しています。

Ludwigが辿った歴史

設立から100年以上経過してなお、ドラムメーカーの第一線を走っているLudwigの歴史を簡単に振り返ってみましょう。

Ludwigの誕生と激動の50年

1909年に兄「ウィリアム・ラディック」と弟「テオバルト・ラディック」によって「Ludwig & Ludwig Drum Company」が設立され、最初のキックペダルを開発しました。これによってバスドラムを足で演奏することが可能になり、ドラムセット誕生に大きく貢献したため、Ludwigは世界的なドラムメーカーとして広く認知されるようになります。
その後、テオバルトの死や世界恐慌の煽りを受けた会社売却、新会社設立、自身が作ったブランドとの競合、第二次世界大戦の勃発など、激動の50年間の中で”ブラックビューティ”や”ゴールド・トライアンフ”、”バランスド・アクション・ティンパニ”、”スピード・キング”などの名機をを生み出し、ドラム・パーカション業系に大きな変革をもたらしました。


※こちらの動画はリイシューですが、金色に輝くブラスシェルに豪華な装飾が施されているのが「ゴールド・トライアンフ」。

ビッグアーティストと共に世界トップのドラムメーカーへ

1960年以降は「リンゴ・スター(The Beatles)」や「ジョン・ボーナム(Led Zeppelin)」などのレジェンド・ロック・ドラマー達がこぞってLudwigを使用したことで、世界で最も有名なドラムメーカーの1つとして成功を収めることになります。1981年に会社を受け継いだ「ウィリアム・ジュニア」の引退に伴い、再度会社を売却することになりますが、現在でもドラマー達の様々なニーズに応える製品を開発し、多くのフォロワーに愛されているメーカーです。


※エド・サリバン・ショーに出演したThe Beatles。白黒ですが、間違いなくLudwigのブラック・オイスターだと分かります。

知っていると得する豆知識!ドラムの歴史を振り返ろう《第一部 ドラムセットの誕生》

Ludwigを愛用するドラマー

Ludwigを愛用するドラマーは、バディ・リッチ、ジンジャー・ベイカー(Cream)、カーマイン・アピス(Vanilla Fudge)、カール・パーマー(Emerson, Lake & Palmer)、スティーヴ・ジョーダン、コージー・パウエル(Rainbow)、アラン・ホワイト(yes)、ロジャー・テイラー(Queen)、ジョーイ・クレイマー(Aerosmith)、エリック・カー(Kiss)、リック・アレン(Def Leppard)、バニー・カルロス(Cheap Trick)、ニック・メイスン(Pink Floyd)、ドン・ヘンリー(Eagles)など錚々たる顔ぶれが並びます。その中でも特にアイコンとも言えるべきドラマーを紹介していきます。

Ringo Starr(リンゴ・スター)

ロックを大衆音楽に昇華し、今なお世界最高のバンドと言われている「The Beatles」のドラマー「Ringo Starr(リンゴ・スター)」はバンドに加入した1962年頃から愛用し続けており、Ludwigは彼のおかげで世界的な人気を獲得したと言っても過言ではないでしょう。ブラック・オイスター・パール・カラーのメイプルキットとJazz Festivalスネアドラムを見れば間違いなく彼を連想させます。

使用している機材

ドラムセット

  • Downbeat Black Oyster Pearl
  • Super Classic Oyster Black Pearl
  • Hollywood Maple

スネアドラム

  • Jazz Festival 14″ × 5″
  • Starr Festival
  • Suprafonic LM400

キックペダル

  • Speed King

ドラムヘッド

  • Weather Master

パーカッション

  • Expand Bongo
  • Tambourine

John Bonham(ジョン・ボーナム)

世界最高のレジェンドドラマーの1人である「John Bonham(ジョン・ボーナム)」もLudwigを愛用しており、特にスープラフォニックやビスタライトは彼の代名詞とも言えるでしょう。カーマイン・アピスからLudwigを紹介されて以降、生涯を終えるまで使い続けました。後進の多くのドラマー達がボンゾのサウンドを求めてLudwig製品を使い始めたのは言うまでもありません。

使用している機材

ドラムセット

  • Maple
  • Green Sparkle
  • Amber Vistalite
  • Silver Sparkle
  • Stainless Steel

スネアドラム

  • Suprafonic LM402

キックペダル

  • Speed King

ドラムヘッド

  • Weather Master Silver Dot

パーカッション

  • Universal Model copper-shelled timpani
  • Cowbell

ドラムスティック

  • Dino Danelli Model 2A

《誰もが認める史上最高のドラマー》John Bonham(ジョン・ボーナム)

Alex Van Halen(アレックス・ヴァン・ヘイレン)

「Alex Van Halen(アレックス・ヴァン・ヘイレン)」は、アメリカを代表するハードロックバンドの1つである「Van Halen」のドラマーとしてデビューする以前から一貫してLudwigのドラムを愛用しています。年代によって様々なドラムセットを使い分け、シグネイチャーモデルも多くリリースされていました。

使用している機材

ドラムセット

  • Black Diamond Pearl
  • Classic Silver Sparkle
  • Stainless Steel
  • Invasion
  • Striped Vistalite
  • Classic Maple
  • Chrome & Copper

スネアドラム

  • Suprafonic LM402
  • Supersensitive 14″ × 6.5″
  • Supralite
  • Black Beauty 13″ × 4″
  • Rosewood shell
  • signature LM402AVH

Questlove(クエストラヴ)

「Questlove(クエストラヴ)」は「The Roots」のドラマーであり、様々なビッグアーティストのサポートや音楽大学の非常勤講師なども務めています。彼とLudwigのコラボによって誕生したブレイクビーツはコストパフォーマンスの良い小口径キットとして高い人気を誇ります。

使用している機材

ドラムセット

  • Breakbeats
  • Cream Vistalite
  • Classic Maple

スネアドラム

  • Suprafonic LM400
  • Classic Maple 14″ × 5″

Sarah Tomek(サラ・トメック)

「スティーヴン・タイラー(Aerosmith)」のソロバンドや「Loving Mary(ラヴィング・メアリー)」のドラマーを務める「Sarah Tomek(サラ・トメック)」は、ボンゾの迫力とカーロックの切れ味を持っていると評されており、現在最も勢いのあるドラマーの1人です。父親のジョーも70年代に活躍したロックドラマーであり、幼い頃からドラムを叩き始め、20歳以降はセッションドラマーとして多くのビッグ・アーティストと共演し、活躍しています。

使用している機材

ドラムセット

  • Legacy Mahogany Nickel Sparkle

スネアドラム

  • Copperphonic

Ludwigの代表的な名機、機材

会社設立から現在に至るまで、数多くの名機を生み出してきたLudwigの中でも特にメーカーを代表する機材を紹介していきます。Ludwigのドラムはロックやポップス亜、ハードロック、ジャズなど多くのジャンルにマッチします。

Supraphonic(スープラフォニック)

世界で最も多くのドラマーが所有しているスネアドラムの1つである「Supraphonic(スープラフォニック)」は1964年に開発されて以来、現在までライブやレコーディング、音楽ジャンルの垣根をも越え、どんな場所や環境においても活躍できるスネアドラムとして有名です。当時は”ラディアロイ”と呼ばれる謎の金属として売り出されていましたが、正体はクロームメッキされたアルミシェルであり、高音が気持ちよく抜けるサウンドが特徴です。年代によって細かい仕様は異なりますが、現行品では1.7mmシームレス・アルミシェルに2.3mmスチールのトリプル・フランジフープ、10テンションのインペリアルラグが基本仕様になっています。どのスネアドラムを選んだら良いか迷った際はこのスープラフォニックをおすすめします。ポップスや歌物系のロックであればLM400、ハードロックなどバンドサウンドに埋もれないアタックが欲しいのであればLM402を選んでください。

バリエーション

型名 サイズ 仕様
LM400 14″ × 5″
LM402 14″ × 6.5″
LM400K 14″ × 5″ ハンマード
LM400T 14″ × 5″ チューブラグ
LM400KT 14″ × 5″ ハンマード
チューブラグ
LM402K 14″ × 6.5″ ハンマード
LM402KT 14″ × 6.5″ ハンマード
チューブラグ

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Black Beauty(ブラック・ビューティ)

Ludwig最初のヒット商品は間違いなく「Black Beauty(ブラック・ビューティ)」スネアドラムであり、製造工程が複雑で難しいため、現在でも年間製造数は限られています。一枚の真鍮(ブラス)板をシームレス・シェルに加工し、ブラックニッケルメッキ加工が施されており、ブラスならではの豊かな倍音とサスティーンが特徴的で、他メーカーが真似できない唯一無二のサウンドです。1.2mmシームレス・ブラスシェル、2.3mmスチール製トリプル・フランジフープ、10テンションのインペリアルラグが基本的な仕様となっています。フープやラグなどのパーツがブラスで作られているものもあり、見た目も音もまさにゴージャスそのもの。Supraphonic(スープラフォニック)と並ぶLudwigの2枚看板と言えるでしょう。

バリエーション

型名 サイズ 仕様
LB416 14″ × 5″
LB417 14″ × 6.5″
LB414 14″ × 5″ 8テンション
LB415 14″ × 6.5″ 8テンション
LB408 14″ × 8″
LB416K 14″ × 5″ ハンマード
LB416T 14″ × 5″ チューブラグ
LB416KT 14″ × 5″ ハンマード
チューブラグ
LB417K 14″ × 6.5″ ハンマード
LB417T 14″ × 6.5″ チューブラグ
LB417KT 14″ × 6.5″ ハンマード
チューブラグ
LB416BT 14″ × 5″ ブラスパーツ
チューブラグ
LB417BT 14″ × 6.5″ ブラスパーツ
チューブラグ

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Acrolite(アクロライト)

1963年に発売された当初は学生用のスネアドラムでしたが、特徴的なドライで抜けの良いサウンドを求めたプロドラマー達がこぞって使用するようになります。他の金属シェルと同様に継ぎ目がないシームレス加工を採用し、マット仕上げの1.6mmアルミシェルはサウンドだけでなく、見た目も個性的です。2.3mmのトリプル・フランジフープ、10テンションのツインラグ、そいて当時を再現したブルー・オリーブバッジもファンにはたまりません。明るく使いやすいサウンドを求めている方におすすめなスネアドラムです。

バリエーション

型名 サイズ 仕様
LM404C 14″ × 5″
LM405C 14″ × 6.5″
LM404K 14″ × 5″ ハンマード
LM405K 14″ × 6.5″ ハンマード

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Jazz Festival(ジャズ・フェスティバル)

1950〜60年代を代表する木胴スネアドラムの1つ「Jazz Festival(ジャズ・フェスティバル)」のヴィンテージは世界中のコレクターから注目されており、現在は当時のスペックを忠実に再現した「JazzFest」シリーズがリリースされています。現在では5.5″の深さを持つシェルはスタンダードですが、初めて5.5″の深さを採用したのがこのスネアドラムです。ポプラをマホガニーで挟んだ3プライのシェルにヴィンテージ64’スナッピー、8テンションのツインラグを搭載し、ドライで豊かな倍音が広がるヴィンテージサウンドを再現。他にもレインフォースメント、内面のホワイト・レゾコート、ベースボール・バット・トーン・コントロールなど見た目もこだわって作り込まれています。

カラーバリエーション

型名 カラー
LS9081Q Vintage Black Oyster
LS9082Q Vintage Blue Oyster
LS90851 Mod Orange
LS9080P White Marine Pearl
LS9080S Silver Sparkle
LS90832 Blue Sparkle
LS90852 Sky Blue Pearl
LS908BG Black Galaxy

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Speed King(スピードキング)

全てのキックペダルの元祖的な存在とも言える「Speed King(スピードキング)」はシンプルな構造ながら、発売当初からすでに完成されたフォルムと機能性を持っていました。現行品である「L203」は復刻モデルとなりますが、ヴィンテージな見た目はそのまま、現代でも使いやすいようにベアリングやドライブ機構や連動部分、ヒール・プレートなどをブラッシュアップしています。ダイレクト・ドライブが好きなドラマーには非常におすすめな1台と言えますので、コレクションとしても実用品としても持っておいて損はないでしょう。

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Vistalite(ビスタライト)

「Vistalite(ビスタライト)」はシェルの中身が透けて見えるアクリルを採用した、1970年代を代表するドラムセットとして有名です。個性的な見た目だけでなく、中低音が強調されたやや無機質なサウンドも他の素材には見られない特徴と言えるでしょう。繋ぎ目が補強された6mmのアクリルシェルは45°のベアリングエッジを採用し、広いチューニングレンジで使用することができるように設計されています。カラーはアンバー、ブルー、イエロー、クリア、ピンク、スモークの6種類がラインナップされており、時折限定カラーモデルも発表されています。

サイズバリエーション

ドラム サイズ 型名
バスドラム 22″ × 14″
24″ × 14″
26″ × 14″
LB942V
LB944V
LB946V
フロタム 14″ × 14″
16″ × 16″
18″ × 16″
LF944V
LF966V
LF968V
タムタム 10″ × 8″
12″ × 8″
13″ × 9″
14″ × 10″
LT980V
LT982V
LT993V
LT904V
スネアドラム 14″ × 5″
14″ × 6.5″
LS901V
LS903V

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Classic Maple(クラシックメイプル)

伝統を受け継いだ「Classic Maple」シリーズのドラムセットはアタックからサスティーン、倍音までバランス良く鳴り、中低音の効いたサウンドが特徴です。7プライ(6mm)のメイプルシェルは1960年代後半から使用されている金型と独自のRadio frequency Shell Technology(シェルに振動を与える技術)によって作られており、3プライのコア・パネルを中央に挿入することで、鳴りの良さを実現、”Ludwig Sound”を作り上げています。ビスタライトと同様に45°ベアリングエッジを採用し、広いチューニングレンジを持っているため、オールジャンルに対応したマルチなサウンドメイクもできるドラムセットです。サイズは既存のセットから選ぶか、オーダーすることも可能です。

サイズバリエーション

型名 サイズ
FAB BD 22″ × 14″
FT 16″ × 16″
TT 13″ × 9″
MOD BD 22″ × 18″
FT 16″ × 16″
TT 12″ × 9″
TT 10″ × 8″
DOWNBEAT BD 20″ × 14″
FT 14″ × 14″
TT 12″ × 8″
PRO BEAT BD 24″ × 14″
FT 16″ × 16″
TT 13″ × 9″

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