《世界トップの楽器メーカー》YAMAHA(ヤマハ)《ドラムメーカー研究》[記事公開日]2023年9月24日
[最終更新日]2023年9月24日

日本が誇る総合楽器メーカー「YAMAHA」は常に世界の最前線を走り続けており、ドラム業界においても例に漏れません。アコースティクドラムはもちろん、電子ドラムやハードウェア、アクセサリーまで豊富なラインナップを持ち、ベストセラー製品も多く開発しています。この記事では「YAMAHA」の歴史や使用しているドラマー、名機を紹介、開発していきます。

目次

1:YAMAHAってどんなメーカー?YAMAHAが辿った歴史 2:YAMAHAを愛用するドラマーコージー・パウエルスティーブ・ガッドトミー・アルドリッジデイヴ・ウェックル青山英樹 3:YAMAHAの代表的な名機、機材Recording CustomMaple CustomOak CustomPHXFP720DTXEAD10

YAMAHAってどんなメーカー?

ブランド及び会社名:YAMAHA/ヤマハ株式会社
旧社名:日本楽器製造株式会社
1887年創業、本社を静岡県浜松市に構える日本を代表する総合楽器メーカーです。国内外問わず、ドラムや楽器未経験者の方でも認知しているメーカーであり、アコースティック楽器から電子楽器まで、ジャンルを問わず数多くの楽器の開発、生産を行っており、中でも楽器の王様とも呼ばれるピアノ生産量においては世界No.1のシェアを誇っています。ドラム、パーカッション関連の会社はありませんが、多くの子会社も抱えています。

YAMAHAが辿った歴史

創業から会社設立に至るまで

1887年、医療機器の修理などを生業としていた「山葉 寅楠(やまは とらくす)」氏は、小学校のオルガン修理を依頼されたことがきっかけで自身でも楽器製造を始めます。その後オルガンの制作を続け、10年後の1897年には「日本楽器製造株式会社」を設立し、1900年からピアノ製造を開始しますが、1916年に創業者の山葉氏が亡くなった後、1945年の終戦までには戦争の影響や会社の合併、ストライキなどの混乱がありましたが、1949年には株式を上場し、総合楽器メーカーとしての地位を確立します。

音楽教室など多岐に渡るビジネス展開と社名変更

1954年に現在のヤマハ音楽教室の前身となるオルガン教室を開講、オーディオやオートバイの製造を開始し、メキシコでの海外法人設立など、楽器以外のジャンルでも多岐に渡るビジネス展開を行い、1967年にはメーカー初となるドラムセット「D20」や「D30」などの打楽器製造を開始します。1979年にはヤマハの最も有名なアコースティックドラムセットである「YD-9000R」が誕生し、1986年にはメーカー初となる電子ドラムの開発を行うなど、その後も事業拡大を続け、1987年の創業100周年を機に「ヤマハ株式会社」に社名を変更します。

世界トップの楽器メーカーへ

1991年以降はアコースティックドラム、マーチングドラム、電子ドラム、レコーディング機材などが急激に進化、発展し、2000年以降にはドイツのDAW、DTMソフトメーカー「Steinberg」やオーストリアのアコースティックピアノメーカー「Bösendorfer」などの業界トップクラスの会社の買収や、独自のノウハウを活かしたオリジナリティ溢れる楽器製造を行い、名実ともに世界トップの楽器メーカーの地位を盤石のものとします。現在でも国内外問わず、雑誌やWEB記事等のドラムメーカーランキングにおいてトップに入るほどの人気を誇っています。

YAMAHAを愛用するドラマー

YAMAHAを愛用しているドラマーはロイ・ヘインズ、ピーター・アスキン(Weather Report)、ビリー・コブハム、アントニオ・サンチェス、デイヴ・マクレーン(Machine Head)、デイヴィッド・ガリバルディ、マット・キャメロン(Pearl Jam)、マイク・ボーディン(Faith No More)、スティーヴ・ジョーダン、サリー・エルナ(Godsmack)、シャノン・ラーキン(Godsmack)、ザビエル・ミューリエル(Buckcherry)、テリ・リン・キャリントン、クリフ・アーモンド、マヌ・カチェ、ポール・ボスタフ(Slayer)、ボビー・ブロッツァー(Ratt)、アントン・フィグ、トミー・アイゴー、神保 彰(カシオペア)、菅沼 孝三、SATOKO(FUZZY CONTROL)川口 千里、Bunta(TOTALFAT)、かみじょうちひろ(9mm Parabellum Bullet)、坂東 慧(T-SQUARE)など、ジャズ・フュージョン系のドラマーを中心に国内外問わず高い人気を持っています。更に5名のドラマーをピックアップして使用機材を見ていきましょう。

コージー・パウエル

1970年代に「Rainbow」や「Whitesnake」など数々のビッグバンドを支えてきた”渡り鳥”の異名を持つドラマー「コージー・パウエル」はLudwigからYAMAHAに乗り換え、生涯愛用していました。使用していたのはYAMAHAの代名詞とも言える名機「Recording Custom」や「Maple Custom」で、左右対称にセッティングするのが特徴的なツーバススタイルでした。バスドラムは26″のイメージがありますが、レコーディングでは22″を使用していた時期もあるようです。

使用している機材

ドラムセット

  • Recording Custom
  • Maple Custom

ドラムスティック

  • Cozy Powell Custom Hickory Drumsticks

スティーブ・ガッド

“ドラム・ゴッド”の愛称で広く知られているレジェンドドラマーの1人「スティーヴ・ガッド」も長年に渡りYAMAHAを愛用し続けています。コラボレーションによって現代に蘇った「Recording Custom」やシグネイチャースネア、アニバーサリードラムセットなどを見ればガッド氏との信頼関係を窺い知ることができます。ガッド・サウンドを求めているのであればYAMAHAドラムを使用することをおすすめします。

使用している機材

ドラムセット

  • Recording Custom
  • Steve Gadd 30th Anniversary Kit

スネアドラム

  • Steve Gadd Signature SD255ASG
  • Steve Gadd Signature MSD-14ASG
  • Steve Gadd Signature BSD14ASG
  • Steve Gadd Signature YSS1455SG

キックペダル

  • DFP9310

ハードウェア

  • シンバルスタンド CS-745
  • ドラムスローン DS-840
  • ハイハットスタンド HS-1000
  • スネアスタンド SS-840
  • タムホルダー TH-945
  • タムスタンド WS-904 Double Tom Stand

トミー・アルドリッジ

1970年代以降のハードロックシーンに大きな影響を与えた「トミー・アルドリッジ」は1980年からYAMAHAドラムを愛用し続けています。特に手で叩くなどの奏法を取り入れたアルドリッジ氏のドラムソロは始まったら誰一人席を外すことがないとまで言われており、ドラマーの役割を新しい段階に進化させています。特徴的なウッドフープを使用したドラムセットは木の鳴りの良さを最大限に引き上げ、個性的なサウンドを生み出しています。

使用している機材

ドラムセット

  • Live Custom Oak
  • AMaple Custom bsolute Nouveau
  • Recording Custom
  • PHX
  • Tommy Aldridge Custom Carbon Fiber

ハードウェア

  • ラックスタンド Hexrack

パーツ

  • ウッドフープ VHシリーズ

トリガー

  • SKRM-100 SubKick

デイブ・ウェックル

1983年からYAMAHAドラムを愛用している「デイヴ・ウェックル」は16歳でプロドラマーになり、現在でも世界トップクラスのフュージョンドラマーとして第一線で活躍し続けています。ドラムセット、スネアドラム、ハードウェアまでYAMAHAで統一されており、シグネイチャースネアは累計8台も販売されているほどです。ウェックル氏の卓越したテクニックとYAMAHAドラムセットによって特徴的なタイトなドラムサウンドを生み出しています。

使用している機材

ドラムセット

  • Live Custom
  • Absolute Hybrid Maple
  • PHX

スネアドラム

  • MSD13DW
  • MSD14DW
  • MSD13ADW
  • MSD14ADW
  • MSD1350DW30TH
  • SD935BS
  • SD355DW
  • SD365DW
  • SD4455DW30TH

キックペダル

  • DFP-9500C

ハードウェア

  • ラックスタンド Hex Rack
  • スネアスタンド SS950
  • ハイハットスタンド CHH930
  • シンバルスタンド CH755, CS865
  • タムホルダー TH840
  • クランプ CSAT924
  • ドラムスローン DS840

PA機材

  • 01V96 V2
  • NS-10M

青山英樹

「青山 英樹」氏は国内随一のフュージョン、セッションドラマーの1人である「青山 純」氏の息子であり、「BABYMETAL」や「B’z」をはじめ多くの国内ミュージシャンのレコーディングやライブサポートで活躍しているドラマーです。ハードロック、ヘヴィメタルから大きな影響を受けたツーバスセットやテクニカルなプレイが特徴であり、現代のドラマーの中でもトップクラスの実力を持っています。

使用している機材

ドラムセット

  • Recording Custom
  • Maple Custom Absolute
  • Birch Custom Absolute
  • Oak Custom

スネアドラム

  • RRS1465

キックペダル

  • DFP9C
  • FP9C
  • FP910C
  • FP720

ハードウェア

  • HEXRACKII
  • Super Rack System

トリガー、モジュール

  • EAD10

YAMAHAの代表的な名機、機材

「YD9000」や「FP910」などの名機も数多く残してきたYAMAHAですが、往年の名機を現代に蘇らせたモデルも多くありますので、現時点で購入可能な代表的なモデルを中心に紹介していきます。

Recording Custom

YAMAHA史上最も人気を博したドラムセットが「Recording Custom」は1977年に発売された「YD9000」をベースに開発され、2013年に生産完了になったものの多くのファンの声を受けて、2016年にスティーヴ・ガッド氏との共同開発によって蘇り、現在でも国内外問わず高い人気を誇っています。YAMAHAサウンドを象徴するバーチ材のみを使用したシェルが特徴で、柔らかな温もりがありながら、明るく明瞭なアタックも持ち合わせているTHE・ドラムセットと呼べるサウンドです。

バスドラムは18″ × 14″〜24″ × 14″までの6サイズ、フロアタムは14″ × 13″〜18″ × 16″までの3サイズ、タムタムは8″ × 7″〜16″ × 14″までの9サイズとフロタム、タムタム、タムホルダーのセットパッケージ(RBP6F3、RBP4F3)をラインナップ。カラーはリアル・ウッド、ソリッド・ブラック、クラシック・ウォルナット、サーフ・グリーンの4色から選ぶことができます。スネアドラムはバーチ、アルミ、ブラス、ステンレススチールの4種類のシェルにそれぞれ異なるサイズおよびカラーバリエーションをラインナップしています。

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Maple Custom(Absolute Hybrid Maple)

YAMAHAが「Maple Custom」は1991年に発売されたオールメイプルシェルのドラムセットであり、その後1998年に同じくオールメイプルシェルの「Maple Custom Absolute」に、2014年にウェンジをメイプルで挟み込んだハイブリッドシェルが特徴の「Absolute Hybrid Maple」へ進化しました。メイプルにウェンジが組み合わされたことで中低音が強化され、アタックの効いた抜けの良いキレのあるパワフルなサウンドになっており、バンドの中でも埋もれることなくビートを出すことができます。

バスドラムは18″ × 14″〜24″ × 16″までの7サイズ、フロアタムは14″ × 13″〜18″ × 16″までの3サイズ、タムタムは8″ × 7″〜16″ × 14″までの9サイズとフロタム、タムタム、タムホルダーのセットパッケージ(AMP6F3、AMP4F3)、スネアドラムは14″ × 6″をラインナップ。カラーはヴィンテージ・ナチュラル、ピンク・シャンパン・スパークル、ソリッド・ブラック、シルバー・スパークル、ジェイド・グリーン、ゴールド・シャンパン・スパークル、クラシック・ウォルナット、オレンジ・スパークル、レッド・オータム、ポーラー・ホワイトの10種類から選ぶことができます。

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Oak Custom(Live Custom Hybrid Oak)

2002年に発売された「Oak Custom」は当時ドラム用の木材として敬遠されていた硬く加工しにくい木材であるオークを使用した画期的なドラムセットとなりました。2019年にオークとフェノールシートを採用した「Live Custom Hybrid Oak」へと進化し、特徴的な強い低音を生かしたコシのある太いサウンドとなっています。ハードロックやメタルなどの激しい音楽にはもちろんですが、ファンク等のグルーヴィーな音楽にもおすすめできるドラムセットです。

バスドラムは18″ × 14″〜24″ × 16″までの5サイズ、フロアタムは14″ × 13″〜18″ × 16″までの3サイズ、タムタムは8″ × 7″〜14″ × 11″までの5サイズとフロタム、タムタム、タムホルダーのセットパッケージ(LHP6F3、LHP4F3)、スネアドラムは14″ × 5.5″をラインナップ。カラーはアイス・サンバースト、マグマ・サンバースト、ナチュラル、アース・サンバースト、チャコール・サンバーストの5種類から選ぶことができます。

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PHX

「Recording Custom」等を制作してきたノウハウを活かし「音量」「太さ」「ダイナミックレンジ」の3つをコンセプトに開発された「PHX」はYAMAHAのフラッグシップドラムセットとして2008年に登場しました。ハイブリッドシェルを初めて採用したドラムセットでもあり、当時はまだドラム用の木材としてメジャーではなかったカポールとジャトバにメイプル(アウタープライにアッシュを追加したモデルもあります。)を組み合わせ、高音域〜低音域まで全ての音域を鳴らすことができ、明瞭なアタックと豊かなサズティーンも持ち合わせている言うこと無しのサウンドです。どのようなジャンルにも適していますので、誰にでもおすすめできるドラムセットの1つです。

バスドラムは18″ × 14″〜24″ × 18″までの7サイズ(バスドラムにマウントホルダーを付けない場合は20″ × 16″までの6サイズ)、フロアタムは14″ × 13″〜18″ × 16″までの3サイズ、タムタムは8″ × 8″〜16″ × 13″までの12サイズと豊富なサイズバリエーションラインナップ。カラーはそれぞれの木材を生かしたフィニッシュを施しており、メイプルモデルがブラック・チェリー・サンバースト、ポーラー・ホワイト、マット・ブラック、マット・ナチュラル、アッシュモデルがサファイヤ・フェイド、ガーネット・フェイド、ターコイズ・フェイド、テキスチャード・ブラック・サンバースト、テキスチャード・アンバー・サンバーストの計9種類をラインナップしてます。

FP720

「FP-901」、「FP-702」その後継機である「FP-910」「FP-710」等も多くのドラマーに愛用されている名機と呼べるキックペダルですが、その後に登場した「FP-720」はベルトドライブの代名詞とも呼ばれるほどの人気を誇っていましたが、2002年に生産完了となり、多くのファンの声に応え2015年に復刻され「FP720」として再登場しました。名機と呼ばれる踏みやすさは健在ですが、初心者でも入手しやすい価格であり、コストパフォーマンスの高さはキックペダルの中でも随一です。

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DTX

YAMAHAの電子ドラムシリーズである「DTX」は1996年に誕生し、多くのモデルチェンジを行い現在に至ります。自社でアコースティックドラムを制作している唯一の電子ドラムメーカーであり、PA機材等も手掛けているノウハウを活かし、本物にこだわったサウンドは国内外問わず多くのプロドラマーからも愛されています。4つのシリーズ全13種類の豊富なラインナップを持っていますので、予算や自身の求める機能や性能に応じて選ぶことができるのもおすすめなポイントです。特に中価格帯から採用されているオリジナルのパッド「DTX-PAD」は唯一無二の打感を持っています。

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EAD10

電子ドラム製造のノウハウを活かし2017年に発売されたのが、多機能トリガー、モジュール「EAD10」です。マイクが内蔵されたトリガーをバスドラムにセットするだけで、録音から配信、ハイブリッドドラムとして使用するなど、練習や演奏の幅が広がるアイテムとなっています。YoutubeなどのSNSでアップされている”叩いてみた”などの演奏動画はEAD10を使用してレコーディングされていることが多く、レコーディング機材の購入を考えている方は候補の1つにすることをおすすめします。

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