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激しいプレイや長年の使用によって生じるひびや割れは、なかなか避けられないものであり、シンバルを割ってそのまま捨ててしまった経験があるドラマーは少なくないでしょう。
決して安い楽器ではありませんので、再利用できるのに越したことはありません。
この記事では、割れたシンバルを加工し、新たな音色を生み出す「シンバル・カスタム」について紹介していきます。
本記事は個人の作業記録をもとにしたものであり、公式な推奨方法ではありません。
使用する工具や環境によって安全性が異なるため、十分にご注意ください。
あくまで自己流DIYでのシンバル・カスタムの紹介になりますので、作業される際は自己責任で細心の注意を払って行ってください。
シンバル・カスタムとは、ひび割れなどで使えなくなったシンバルを切ったり、穴を開けたりすることで再び演奏に使えるよう加工することを指します。
割れ方や形状に応じて多彩な手法が生まれており、修復だけでなく独特の音色を追求する目的で形を変える例も少なくありません。
単なる修理にとどまらず、壊れたシンバルへ新たな命を吹き込むリメイク手法として発展しています。
インチダウン、またはリサイズとは、シンバルの外周をカットして直径を小さくする加工のことを指します。
主に、ひび割れや欠けが生じた部分を取り除くリペア目的で行われますが、同時にサウンドキャラクターを再構築する手段としても活用されており、割れたシンバルを単に再生するだけでなく、新たな個性を持つ一枚へと生まれ変わらせる加工方法です。
シンバルをインチダウン/リサイズすると、音量やピッチ、倍音、サスティーンが変化し、全体としてタイトでドライなサウンドになるのが特徴です。
サイズの変化はわずかでも影響が大きく、1〜2インチ削るだけでピッチや響きの方向性が明確に変化します。
リサイズ作業では、正確な円形を保ちながら金属をカットするための工具が必要です。
カットの際はディスクグラインダー、リューター等を使用し、切断面のバリ取りや仕上げには砥石ビットやヤスリを使い、エッジを整えることで手触りと見た目の両方を改善することができます。
金属粉や破片が飛ぶため、ゴーグルや防塵マスクを着用し、安全に配慮して作業することが大切です。
作業時に必要な工具や道具をまとめました。
おすすめ品はいずれも今回の作業で使用したものです。

金属や木材などの研削・切削に使用する電動工具であり、回転する砥石やビットを交換することで、切断から磨きまで幅広く対応できる工具です。
細かい加工やバリ取りにも向いており、DIYでも定番のツールです。
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研磨ビットやカットオフホイールを装着するための軸パーツです。
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金属の切断に使う円形のディスクです。
薄くて硬度が高く、精密なカットが可能。
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金属・木材・樹脂などのバリ取りなど、表面を滑らかに仕上げるためのパーツです。

中心点を固定して金属板や木材に正確な円を描くための工具です。

金属粉や木くずなどの粉塵を吸い込まないようにするために必要です。

研削時に飛散する金属片や火花から目を守るためのゴーグルです。

切削時に手を保護するために必要です。
では、実際の作業工程を紹介していきます。
こちらの動画も併せて参考にしてみてください。

まずはシンバルを固定して作業しやすくするために簡易的な治具を製作してみました。

余っていた木材に子供用のドラムスティックを取り付けるだけの簡単なものになっています。

直径がちょうどセンターホールとほぼ同じだったため活用してみました。

今回カットするのはこちらのSABIAN / AA MEDIUM CRASH 18″です。
すでにヒビ割れ補修してありますが、今回は12″を目安にリサイズしていきます。

こちらのコンパスクライバーを使用しましたが、油性ペンが挿せなかったため、金属用ドリルで加工して対応しました。

このようにカットするガイドラインを引いていきます。

発熱や粉塵の抑制、ホイールの消耗軽減のためにカットする箇所には水や切削用オイルなどを吹きかけます。
今回は水をスプレーで吹きかけてカットしましたが、工具やホイールによっては危険な場合もありますので、必ずチェックしてから作業することをおすすめします。

ガイドラインに沿って切っていきます。
安全を考慮し、工具の電源やコンセントを抜いた状態で撮影しています。

1枚あたり5〜10分ほどでカットすることができました。

ミニグラインダーでは正確かつ綺麗な円で切るのはかなり難しいです。

カットオフホイールは1枚あたりおよそ半分ほど消耗します。
元のシンバルのサイズにもよりますが、リサイズの場合はシンバル1枚あたり、カットオフホイールを1枚消耗することが分かりました。

バリが出ていますので、研磨ビットに変えて綺麗にしていきます。

手で触ることが多いため、指で確認しながら安全性を確かめて仕上げました。

油性ペンがはみ出した箇所は、消しゴムで消します。

一部ロゴが消えましたが、該当箇所は綺麗になりました。

サイズチェックしたところ、直径が約29.7cm(約11.6〜11.77インチ)でした。
コンパスクライバーを使用した際に角度がついてしまったのが原因です。



AGEAN / Custom Brilliant China 18″も同サイズにカットしました。
インチダウンしたシンバルはシンプルにスプラッシュシンバルとして使用したり、同じサイズのシンバルと併せてハイハットにすることもできます。
サイズの異なる2枚以上のシンバルを重ねることでスタックシンバルとしても活用できますので、割れたままのシンバルやヒビ割れ補修したシンバルよりも活用の幅が広がります。
シンバル・カスタムは割れたシンバルのサイズや形状に手を加えることで、再び活躍の場を与えることができるのが最大の魅力です。
個性的なサウンドや演奏スタイルに合わせた新しい響きを得られることもあり、自分の理想の音を追求する手段としてもシンバル・カスタムには大きな可能性があります。
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