《パワフルドラムの継承者》Dave Grohl(デイヴ・グロール)[記事公開日]2023年1月25日
[最終更新日]2023年1月25日

デイヴ・グロール

デイヴ・グロール氏はグランジブームの火付け役となった「Nirvana(ニルヴァーナ)」のドラマーとして、そして自身がボーカル/ギターを務める現在のロックシーンを代表するバンドの1つである「Foo Fighters(フーファイターズ)」のフロントマンとして活動を続けるミュージシャンです。2010年の「ローリング・ストーン誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のドラマー」において第4位にランクイン、デイヴ氏のプレイと人柄は多くのミュージシャンを魅了し、自身のバンドの他にも様々なアーティストのサポートやコラボレーションプロジェクトに参加するなど精力的な活動を続けています。今回はこのデイヴ・グロール氏に注目していきましょう。

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EARLY LIFE BAND / WORKS PLAY STYLE EQUIPMENT RECOMMENDED CD's

EARLY LIFE

本名:David Eric Grohl(デイヴィッド・エリック・グロール)
1969年1月14日 アメリカ オハイオ州ウォーレンで誕生し、幼少時代にバージニア州スプリングフィールドに移住。7歳の時に両親が離婚し、母親に引き取られ、12歳でギターを始めます。
13歳の時(1982年)、従兄弟にシカゴのスポーツバー「The Cubby Bear」で行われた「Naked Raygun」のライブに連れて行ってもらったことがきっかけでパンクに目覚め、その後アメリカのパンク、ハードコア雑誌「Maximum Rocknroll」を愛読するようになります。
高校生時代には地元バンド「Freak Baby」でギタリストととして活動を行い、後にベーシストが入れ替わるタイミングでドラマーへと転向します。(この時バンド名を「Mission Impossible」に改名、解散前には更に「Fast」と改名します。)
ドラムのレッスンを受けたことはありませんでしたが、パンクやハードコアだけではなく「Rush」などのプログレッシブロックも好んで聴いていたり、ワシントンDCにあるライブハウス「9:30 Club」には10代の頃足繁く通い、多くのバンドから吸収したことがデイヴ氏のドラミングスタイルに大きな影響を与えています。
1985年12月ハードコアパンクバンド「Dain Bramage」に加入。
1987年3月同じくハードコアパンクバンド「Scream」に加入したことで「Dain Bramage」は解散。

EPISODE

  • 故郷であるウォーレンには「David Grohl Alley」と名付けられた道路がダウンタウンに存在し、2012年にはデイヴ氏を称えるために902ポンド(409kg)のドラムスティックが建造され、これはギネス記録にもなっています。
  • Nirvanaのライブ中にカートとスタッフが喧嘩になった際、いち早ドラムの演奏をストップし、カートを助けに行ったこともあります。
  • 2006年にオーストラリアで鉱山事故が発生した際、Foo Fightersの曲を聴きながら救助を待っていたという作業員達のために、「コンサートの招待と一杯のビールをプレゼントする」とコメント。
  • 10代の頃からの長年に渡る音楽活動により左耳がほぼ聴こえなくなっていますが、耳で聞く自然な音、バンドメンバーの音が聞こえなくなるという理由からインイヤーモニターを使用していないと語っています。
  • その類まれなるドラムプレイと明るく誠実で社交的な性格のため、多くのアーティスト達からも愛されており、幅広い交友関係を持っています。一度離婚を経験していますが、現在は3人の父親であり、子煩悩としても有名です。
  • 最も影響を受けたドラマーは「ニール・パート(Rush)」氏と「ジョン・ボーナム(Led Zeppelin)」氏であり、右肩に彫っているタトゥーはボンゾのシンボルマークであるスリーリングシンボル。

BAND / WORKS

現在では「Foo Fighters」のボーカル/ギターとしてのイメージが定着していますが、デイヴ氏はドラマーとしても素晴らしいキャリアを持っています。これまでデイヴ氏が参加したバンドやプロジェクトを辿っていきましょう。

Scream

1986~1990年まで在籍。
17歳の時にワシントンDCで人気だった「Scream」のドラマーが脱退したことにより、新メンバーオーディションが行われ見事合格したため、加入と同時に高校を中退し、バンド活動に専念することになりました。その後の4年間は世界規模のツアーを敢行し、1987年にライブハウス「El Mocambo」で開催されたCDリリースパーティーにおいて「イギー・ポップ」氏のバックでドラムを演奏していますが、1990年にベーシスト脱退に伴いバンドは解散してしまいます。

Nirvana

1990年〜1994年まで在籍。(現在でもトリビュートライブなどでゲストを迎え、ドラムを演奏する事もあります。)
Scream時代からスラッジメタルバンド「Melvins」と親交があり、ギタリストの「バズ・オズボーン」氏によって「Nirvana」のメンバーである「カート・コバーン」氏、「クリス・ノヴォゼリック」氏を紹介してもらい、Screamのライブを見ていた2人は即座に正式メンバーに迎え入れました。当時Nirvanaはメジャー1作目となる「Never Mind」の準備を行なっており、レーベルとの契約などを行なった後、1991年にアルバムの録音を行ないました。
Never Mindは世界的な大ヒットとなり、グランジというムーヴメントの立役者となったNirvanaは一時代を築き、大規模なツアーや続くミニアルバムやセカンドアルバムの制作を行なっていきます。
デイヴ氏は作曲に関しても貢献しており、「Color Pictures of a Marigold」はカート氏との共作、「Scentless Apprentice」はギターリフを発案しています。
1994年4月8日にカート氏が自宅で自殺しているのが発見され、数日前に3人で録音した「You Know You’re Right」がバンド最後の曲となりました。

Foo Fighters

1995年にカート氏の自殺から立ち直るためにもデイヴ氏は自らのソロプロジェクトを立ち上げます。その内の1つが「Foo Fighters」であり、Nirvana時代から作曲していた「Exhausted」、「Big Me」、「February Stars」、「Butterflies」などの曲を自分自身でレコーディングし、ファーストアルバム「Foo Fighters」をリリース。そのままメンバーを集めバンドとしてライブやレコーディングを積極的に行なっていきます。
1997年に発表したセカンドアルバム「The Colour and the Shape」(このアルバムまではほとんどの曲、楽器をデイヴ氏自身がレコーディングを行なっていました。)はバンドを一気にメインストリームに押し上げ、デイヴ氏以外のメンバーが次第に固まっていき、現在では世界的な人気を誇るビッグバンドとなりました。
ドラマーとしてもギターボーカルとしても大成功を収めている唯一のミュージシャンと言っても過言では無いでしょう。
惜しくも2022年に亡くなってしまったドラマー「テイラー・ホーキンス」氏とのドラムバトルやテイラー氏がボーカルを務め、デイヴ氏がドラムを叩くなど、現在でもドラムを演奏する姿は見ることができます。

Them Crooked Vultures

2009年に結成された「ジョシュ・オム(Queens of the Stone Age)」氏、「ジョン・ポール・ジョーンズ(Led Zeppelin)」氏とのスーパーバンドが「Them Crooked Vultures」です。2010年まで続く世界ツアーを敢行し、同年リリースされたアルバムはビルボードチャートでは12位を記録、2011年のグラミー賞でベストハードロックパフォーマンスを受賞。メンバーそれぞれが次のアルバム制作に興味を示していますが、多忙によって予定が合わず現在は活動が行えていません。このバンドではデイヴ氏はドラムに専念しており、どこか「ジョン・ボーナム(Led Zeppelin)」氏を彷彿とさせるドラミングを披露しています。

Other Works

1992年にはインディーレーベルの「Simple Machines」から「Late!」というペンネームで「ポケットウォッチ」と呼ばれているカセットをリリースしており、Foo Fighters以前からも作曲スキルの高さを窺わせていました。2004年には自身のお気に入りだった1980年代を代表するメタルボーカリスト達とのコラボレーションプロジェクトである「Probot」からアルバムをリリース。このアルバムには「レミー・キルミスター(Motörhead)」氏、「クロノス(Venom)」氏、「キング・ダイアモンド」氏、「スコット・ワインリッチ」氏、「スネイク(Voivod)」氏、「マックス・カヴァレラ(Sepultura)」氏等のメタルヒーロー達が参加しています。
他にも「Queens of the Stone Age」でのサポートなど様々な著名ミュージシャンやアーティストと共演しています。デイヴ氏がドラマーとしてライブやレコーディングを共に行ったのは「トニー・アイオミ(Black Sabbath)」氏、「ポール・マッカートニー(The Beatles)」氏、「バズ・オズボーン(Melvins)」氏、「マイク・ワット(Minutemen)」氏、「エディ・ヴェダー(Pearl Jam)」氏、シンガーソングライターの「ピート・ヨーン」氏、「デヴィッド・ボウイ」氏、バンドでは「Tenacious D」、「Cat Power」、「Nine Inch Nails」、「Garbage」、「Juliette and the Licks」、「The Prodigy」などが挙げられます。

デイヴ・グロールのドラムプレイの特徴

デイヴ氏のプレイスタイル、ドラミングの特徴を動画を見ながら紹介します。

Scream期

ハードコアパンクバンド「Scream」在籍時はまだ荒削りですが、デイヴ氏のドラミングの大きな特徴の1つであるパワフルさはこの頃から健在であり、シンプルでストレートなリズムやグルーヴはハードコアという音楽には非常にマッチしています。特にスネアドラムをひたすらフルパワーで連打するフィルやバスドラムを連打するドラムパターンなどは現在でも多用しており、キャリアを通してデイヴ氏にとって欠かせないプレイの1つと言えます。腕を大きく振り回すストロークや頭をガンガン振りながら叩くパフォーマンスもこの頃から確立しています。

Nirvana期

「Nirvana」でのキャリアにおいてデイヴ氏のドラミングは完成されたと言って良いでしょう。パワフルなドラミングはもちろんですが、Nirvanaの楽曲の特徴とも言える「静と動」に対応するダイナミクスを使い分けていることが大きな変化です。これはデイヴ氏が影響を受けている「ジョン・ボーナム(Led Zeppelin)」氏にも通ずるスタイルであり、バスドラムの連打や独特なパターンが特徴的な曲も多く、メリハリが際立った独自のグルーヴを築き上げています。特にデイヴ氏ならではのオリジナリティ溢れるドラムパターンや独特のグルーヴを感じる特徴的なドラミングフレーズが聞ける曲としては「In Bloom」、「Scentless Apprentice」、「Aero Zeppelin」、「You Know You’re Right」などが挙げられます。また、Nirvanaの最も有名な曲「Smells Like Teen Spirit」のイントロは1970年代に活躍したディスコバンド「The Gap Band」の曲である「Burn Rubber On Me」のフレーズを引用していると本人も公言するなど、幅広い音楽ジャンルの知識や音楽センスを感じることができます。

Foo Fighters(を経て)以降

「Foo Fighters」ではセカンドアルバムまでデイヴ氏のドラミングを聴くことができますが、「Nirvana」でのドラミングがそのまま活かされており、「I’ll Stick Around」や「Monkey Wrench」、「My Hero」などでは特にそれを感じることができます。逆に16分でハイハットを刻む「Everlong」などの楽曲では今までに無かったアプローチでのドラミングも取り入れているのが分かります。
Nirvana解散以降は自身のプロジェクトだけでなく、様々なアーティストやバンドとの演奏経験から、より幅広いジャンルに対応しつつ、デイヴらしさも失わない懐の深さを感じられるプレイになっています。例えば「Queen of the Stone Age」の楽曲やライブでは今まで通りのストレートなロックドラムを聴くことができますし、テクノを代表するバンドの1つ「Prodigy」とのコラボ作品である「Run with the Wolves」では打ち込みサウンドに対応したロックドラムを聴くことができます。
近年では年齢によるプレイスタイルの変化も感じられ、全盛期の良い意味での荒々しさはやや失われていますが、それでもパワフルなドラミングはまだまだ健在、代名詞とも言えるバスドラムの連打、手足のコンビネーションを用いた3連符フレーズなどは多くの楽曲で聞くことができます。

EQUIPMENT

キャリアを通して比較的シンプルなセッティングが目立ちますが、近年ではコンサートタムやゴングドラムなどの楽器を取り入れています。ツインペダルやツーバスは使用せずシングルペダルを常に使用している点も特徴です。

Drum Kit

Tama / Granstar,Granstar II,Artstar II

Nirvana時代に使用していたのがこちらのドラムキットと言われており、シンプルな構成ですが、サイズ(深さ)が大きいドラムを好んで使用していたことが分かります。

  • タムタム 14” × 15”
  • フロアタム 16” × 18”
  • バスドラム 16” × 24”

DW / Jazz Siries

最近では「DW / Jazz Siries」のドラムセットを使用しています。以前に比べると点数が増え、モダンさを感じられるセットです。

  • タムタム 9″ × 13″
  • フロアタム 16″ × 16″
  • フロアタム 16″ × 18″
  • バスドラム 16″ × 24″
  • コンサートタム 5″ × 8″
  • コンサートタム 5″ × 10″
  • ゴングドラム 16″ × 20″

Snare Drum

スネアドラムはシグネイチャーモデルも限定で発売されていたこともあります。

TAMA,DW,etc…

  • 8” × 14”(バーチ)
  • 6.5″ × 14″(アルミ)
  • DAVE GROHL ICON SNARE DRUM

Cymbal

Zildjian / A Custom,K Zildjian

  • ハイハット 15″
  • クラッシュ 18″20″
  • ライド 22″24″

Kick Pedal

デイヴ氏はシングルペダルであのパワフルなバスドラムの連打を行なっています。DWは耐久性や連打などのプレイに最適と言えるでしょう。

DW

  • DW5000TD4
  • DW9000

Hardware

TAMAのハードウェアを使用していたようですが、ハイハットは高くセットできるという理由からSonorを使用。現在はDWで統一しているようです。

  • Sonor / Hi-hat stand
  • DW / 9500D
  • DW / 9100AL

Percussion

LP

  • Hi-Hat Tambourine
  • Drum Kit Tambourine

Drumhead

  • スネアドラム Aquarian / Hi-Energy(トップ)、Remo / アンバサダー・スネアサイド(ボトム)
  • タム類 Remo / クリア・ピンストライプ(トップ)、Remo / クリア・アンバサダー(ボトム)
  • バスドラム Remo / クリア・パワーストローク(トップ)、Remo / エボニー・アンバサダー(ボトム)センターに6インチのポートホール。

Drum Sticks

ScreamやNirvana時代はドラムスティックを逆さに持ってパワフルなサウンドを出していたことがありましたが、現在では通常の持ち方になっておりシグネイチャーモデルもリリースされています。

Zildjian / Dave Grohl Signature Model

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RECOMMENDED CD’s

デイヴ氏のドラミングを聴くことができるおすすめのCDを紹介します。

Foo Fighters / The Colour and the Shape


1つのアルバムとしての完成度の高さやカート氏の死を乗り越えることができるきっかけとなったFoo Fightersのセカンドアルバム。ドラムパートは一度当時在籍していたドラマーによってレコーディングされましたが、納得のいかなかったデイヴ氏によって再度レコーディングされることとなったため、このアルバムを通してデイヴ氏のプレイを聴くことができます。「Monkey Wrench」ではドライブ感のあるビートはそのままに、オリジナリティ溢れるパターンが特徴的な「My Hero」、四つ打ちやハイハットの16分なども取り入れた「Everlong」など全ての曲がおすすめできる1枚です。

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Nirvana / Never Mind


Nirvanaを一気にメインストリームに押し上げたアルバム。最も有名な曲である「Smells Like A Teen Spirit」をはじめ特徴的なリズムパターンを用いた「In Bloom」やパンクらしさを感じられる「Breed」、「Territorial Pissings」などシンプルながら勢いを感じられるドラミングはバンドサウンドを支える上で非常に重要な役割となっています。3ピースのバンドだとどうしても音数が少なくなり音圧も低いことが多いですが、デイヴ氏のドラムによってボトムがしっかり効いているおかげで軽いサウンドにならないと言えるでしょう。

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Probot / Probot


デイヴ氏のメタルドラミングが聴ける1枚としてセレクトしました。数々のメタルスター達と共演していることも凄いのですが、これまでにはないアプローチのリズムパターンやグルーヴになっているため、特にシングルペダルプレイヤーにはおすすめです。タムタム、フロタムとバスドラムのコンビネーションによるツーバスフレーズや手数やキメが多く、ヘヴィネスな曲からアップテンポの曲まで多彩な曲のラインナップ、今までのデイヴ氏のドラムと比較しても非常に面白く、タメになるフレーズが満載です。ちなみに作曲やレコーディングはほぼ本人が行なっています。

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